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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
一撃の始動
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繰り返し。
繰り返すたびに、その威力は上がっていく。

その使用者は、あの鉄翔剣。
一回のやり取りで、一体どれほど威力が上がっているのか。


「ちょま」

「双拳ンッッッ!!!」

ゴゥンッッ!!


凄まじい威力。
その一撃に大気が震え、円盤状に空を覆う。

翼刀は胸の奥でグジュゥ、と何かが潰れるような音を感じたし、翔剣は砕ける肉の感触を確かに感じた。


ドォンッッッ!!!

めり込んだ拳は、その場で翼刀の身体をバラバラにはせずに吹き飛ばした。


地面に突っ込む翼刀だが、そんなダメージなど気にしていられない。
それ以上の痛みが、衝撃が、彼の胸中を蝕んでいるのだ。



「オッ・・・ゴ・・げブふバァッッ!!!」

「ふむ・・・・カウンターで俺の腹に蹴りを当て、更に全不動で緩和か」

翼刀のもとに着地した翔剣が、多少感心しながら地面でもがく翼刀を見下ろす。

確かに、それならば多少は威力が殺せよう。
だがそれもたかが知れている。バズーカを前にして、ベニヤ板を設置したようなものだ。


「だがお前の全不動、悪くはない。あれは親父の技か?」

語りかける翔剣だが、翼刀には届いていない。
胸を押さえ、唾液を垂らし、目を見開いて、痛みにもがいて悶えるだけだ。


「ま、俺が奥義もってなかったからな。当然お前は親父―――じいちゃんの技を見てきたわけだが」

そう言って、翔剣が掌を合わせる。
そして腰を落とし、全身に力を込めはじめる。


「だが、お前のはまだ完全じゃないな。その域まで行ったのはいいが、な」

そう言って、翔剣が発動させるのも全不動。
全身に不動拳を掛ける体技。

触れれば弾かれ、攻撃にも転用できる。
一端発動すれば、容易に手が出せなくなるこの技。

だが、彼はその先――――第十六奥義を放ってきた。


「第十六奥義・・・・不動爆」

ドンッッッ!!!!


一瞬で巻き上がる土煙。
誰がどう見ても爆発としか見えないそれは、モクモクとキノコ雲を上げながらその威力を主張する。


第十六奥義・不動爆。
完成させたのは翔剣の父、即ち翼刀の祖父である鉄飛影。冠した異名は「人間爆弾」

全身から不動の衝撃を一気に放出していくと言う、ただそれだけの一撃。


だがそれはやはり、簡単なことではないのだ。
蒔風がやって、その失敗からわかることだがこの不動はコントロールが難しい。

体得してからの発展は容易とはいえ、やはりこの域になると才能に近い。


なにせヘタをすれば、この技の発動の瞬間自分の身体がバラバラに吹き飛ぶのだ。
しかも、衝撃はうまく飛べばいいが、そうでなければ相手にはダメージの一つもな
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