第六章 Perfect Breaker
一撃の始動
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つとして。
「翼刀。お前舐めてるのか」
「は・・・はは」
立ち上がろうとする翼刀に、翔剣が怒りの形相で睨み付ける。
それを翼刀は抜けた笑いで応えるが、翔剣は笑顔どころかますますイラついた表情になっていく。
「新奥義どころか、動不動拳の一発すら撃ち込まない。なるほど、確かにこれまでの攻防、お前の成長はしかと分かった。だがな、これは継承式。それを何だと心得る!!!」
もしも、これがこのエリアのどこかで始まった戦いならば、翔剣もこんなことは言うまい。
だが、翔剣は道場に向かい、翼刀はそこにいた。
つまり、最初からこの継承の儀を行うつもりで翼刀は道場にいたことになる。
だと言うのにもかかわらず、彼は全くその力を見せようとしない。
戦闘技能だとかではない。
この儀式内で見せるべきもの。「第一奥義・動不動拳」と、自らの「第十八奥義」だ。
「もしそれもなしにこの形での戦いを挑んだとなれば―――――もはや息子とて」
翔剣の、言葉が止まる。
ユラリと立ち上がった翼刀。
その口元に、わずかな。それでいて挑みかかるかのような――――笑みを見たからだ。
「容赦せんッッ!!!」
問うつもりだった語尾が、断言へと変わった。
打ち付ける拳は、地面へと。
その衝撃は地盤へと浸透し、崩す。
それはもはや地震で済む話ではない。
「これかよ・・・・!!」
第十五奥義・地滑り
翔剣の祖父が編み出したものだ。
地滑り、という名から、確かに足場崩しの技。
だが、崩れる程度ならばまだマシだ。
「あ、足場が!?」
「やば!!離れるよ!!」
狼狽えるさやかたちを、唯子が抱えてさらに距離を取る。
見ると、翼刀を中心とした地面が崩れていた。流砂のように。
ガラガラとは崩れない。
バキバキと音もならない。
ただ、一瞬にして地面が砂上へと変わり、さらにアリジゴクのように陥没する。
その経過は一瞬。
故に、翼刀の足は浮き、身体は宙に浮かんだ。
「やばい―――!!!」
このままでは、流砂に飲まれて生き埋めだ。
ヴァルクヴェインを振るおうとする翼刀だが、そうはさせないと翔剣が彼の前に躍り出た。
「空歩・・・・・!!」
翼刀と違い、翔剣には空を歩く術がある。
そして、その両拳が打ち合わされる。
「・・・・マジかよ」
翔剣の左右の拳。
打ち合わされて閉じられているが、その内部ではとんでもないことが起こっている。
左拳の衝撃を右拳で、そしてその衝撃に右拳の衝撃を乗せて左拳へ。
そしてその左拳に来た衝撃に、更に左拳の衝撃を乗せる―――――
その
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