第六章 Perfect Breaker
一撃の始動
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ついている。散っていっている羽根がその証拠だ。
だが、蒔風は冷静に、そしてまた講義する様に人差し指を上げた。
「人質は本来、自ら抱えることで盾にするもの。だがそれが一人である場合、その人質は実質意味を持たない」
人質が一人の場合、実質それは犯人にとっては人質ではなく足枷になる。
移動には手間取るし、交渉と人質の監視を同時にこなさなければならない。更には犯人側は人質を守らなければならなくなる。
人質が傷つけられればもはや盾としては使えず、殺してしまおうものなら犯人はあっという間に袋小路だ。
しかも、人質をかざしたところで相手に平然と歩いて来られたら、人質を放棄するしかない。
「殺すぞ」と脅しても、実際それをすれば盾はなくなるのだから、人質は安全が約束されているということだ。
「だから、まあ基本的に「翼人に人質は効かない」んだ。大人数の人質だとまた対処法も変わってくるんだがな」
そう言う蒔風に、だから?とネガ電王は小馬鹿にしたように鼻で笑う。
それをまた、蒔風も笑う。
「まあ待てよ。偶然の産物とはいえ、ここに関しては俺はお前を評価してるんだ。まさか犯人側じゃなくてこっち側に人質を括りつけるとは思わなかったからな」
一人の人質は、犯人側にとってはお荷物だ。
ならば、その荷物が相手についたとしたら?
「ああ、中々に悩ましい問題だった。新しい「人質」の使い方。しかも、彼女傷つけたら全国の皆さんに何を言われるか・・・・だがまあ、それも問題ない」
「・・・・なに?」
「問題ない、と言ったんだ。改めて言わせてもらおう。翼人に、人質は、効かないの」
一言一言を、念を押すように区切って語る蒔風。
その所作一つ一つに、ネガ電王はなぜだか後ずさる。
―――――なぜだ。
いまこの状況において、有利なのは自分だ。
街に投下したギガンテスは、一端は数を減らされこそしたが、その範囲を広げた今となってはその勢いを取り戻し始めている。
確実に勝利、とはいかずとも、こちらに少なくとも負ける要因は見当たらない。
仮にあったとして、この状況を覆せるようなものはない。
ならばなぜ。
(なぜこの足は―――――あの男から後退した!!!!)
その疑問を感じ取ったかのように、蒔風の銀白の翼が輝いた。
その光を、眩しそうに掌で遮るネガ電王。
「翼人とは、人の想いを司りし物――――この翼の輝きは希望の光、この銀白は願いの翼。迂闊だったな、ネガタロス。これだけ俺の勝利を願ってくれる子がそばにいて、俺が枯渇すると思ったか!!!」
背に抱えるは、我那覇響。
彼女は最初から言っていた。
「信じてるからね!?」
その一言。
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