第01部「始動」
第03話
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、う」
「………ああ」
反射的に、本当に反射的に俺も笑っていた。
…あの時以来か。
ルリちゃんとの予期しない会合。ほんの一瞬だったが、俺はルリちゃんを見て笑っていた。
「アキト………ルリのこと、かんがえてる」
「ラ、ラピス?」
「酷いわねぇ?ラピスと話してる時に、別の子の事考えてただなんて」
「…いや、それはだな。そういえば、ラピス。なんで俺にも礼言ったんだ?」
く…咄嗟にしても、何を言っているんだ俺は…
「アキトにおはよう言うときも、おやすみ言うときも体が変…だから」
………やぶ蛇だ。
「アキトく?ん」
ああ。本当にやぶ蛇だ。
それから少しの間、俺はエリナにいじられた。
…………………………俺はラピスから、笑顔も奪っていたんだな。
--
「…駄目ね」
女はデスクの上に束になった書類を置く。目元に浮かぶ疲労の後が、ここ数日彼女が満足に寝ていないのだろうと感じさせる。
時間が足りない。女は以前にそう言った。
ナノマシンという技術が人体に与える影響と可能性。だがそれは、幾度の失敗と実験によって招かれるものだ。
だが、女が今診ているのは目標が無い実験の結果だ。多量のナノマシンを何種類も打たれた結果、脳に多大な負担を強いる。結果もたらされたのは五感の損失。
「まさか、自分達も理解できていない物-ナノマシン-を投与してたなんてね…」
つくづくあの科学者…いや、下衆は狂ってる。
そう女は思う。
結果として、彼女の患者が行われた実験について、人体に与えた影響を結果として記録されていたに過ぎなかった。幾人の犠牲者を出して…それぞれの結果からどんな効果が伺えるか………女も科学者。だが、これは最早虐殺だ。ジャンプに必要な因子は少しずつ解明されている。
彼らに取って、ジャンプ先を遺跡に伝える事が出来るA級ジャンパーを、人為的に生成する事はクーデターを成功させる為の一つの因子だったかも知れないが、その結果がA級ジャンパーを拉致しての人体実験…当初の目的はクーデターの邪魔をさせない為だったのかも知れないが、それでもその非人道的行為は許しがたい。
「はぁ…」
溜め息も吐きたくなるだろう。
一部とはいえ、女が愛しく思う患者に対する実験内容…加えて、期待していた患者を治す手掛かりが、この様な結果だったのだから。
「時間がないわ…何か見付けないと」
言って、積み上げられた一冊に手を伸ばす。
記録媒体が紙しか無いのではない。映像記録も多数発見残された。見てみたが、数分も経たない内に映像は消える。女と一緒に見ていた一人が投げつけたものによって。
「狂ってる」
漏れでた言葉が耳に残っている。
女もそう思った。
正しい未来の為に協力出来て嬉しいだろう?
そう一人の科学者が被験者に笑いな
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