第01部「始動」
第03話
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………なんだ、似合っているぞ」
「うそ。アキト、こころがわらって、る」
「嘘じゃないぞ。笑いっていうのは、楽しい時もそうだが嬉しい時にもなるんだ」
頭を撫でる。
分かってないか。
「ラピスは無いか?」
「ん」
首を縦に振る。
「嘘だ」
「うそ。じゃない」
抑揚の無い声で発せられた言葉に…
不意に気付いた。
俺はラピスに………そうか。そうだよな…
膝を折って目線をラピスに合わせる。頭に置いた手は後頭部を触れている。離そうとしたらラピスに掴まれたからだ。
「エリナに服を着せて貰ってどうだった?」
「エリナ、こわかった」
「そうか。そうだな…俺も怖いぞ」
「ちょっと!」
エリナが批難の声を上げるが無視する。
「でもな、ラピスから俺は助けてと言われ無かったぞ」
ピクッとラピスが動く。
「怖かったんだろ?」
「う…ん」
自分でも戸惑っているんだろう。いや、考えてるのかもな。
「ラピス…それは怖いんじゃない。困ったと言うんだ」
「こまった……こまった、こと?」
「ああ。嫌じゃ無いが……ちょっと駄目、かな?俺がラピスと風呂に入らなくなってから、俺を風呂に連れて行こうとしてた時、ラムダはどうしてた?」
「わらって、た」
「俺が嫌なことをされてたらラムダは笑うかな?」
「…ん」
一瞬の間を空けて首を横に振られる。
「じゃ、何でラムダは笑っていた?俺が困っていたのに」
「わからない」
「嘘だ。ラピスはエリナが嫌いか?」
「ううん」
即座に首を横に振る。
エリナが嬉しそうに拳を握っていた。
「でもエリナが怖かった?」
「ん」
今度も即答。
ガクッと頭が落ちる。
「それが答えだ。勿論全部がそうじゃないが、ラピスはエリナが好きだが嫌いじゃない、だから困ったんだ」
「…よく、わかんない」
「ああ、そうだな。今は…それでいい。でもな」
これだけは言っておきたい。
「その服は気に入ったか?」
「ん。アキトといっしょ」
「いつも着ていたいか?」
「ん」
「じゃあ、その服を渡された時どう思った?」
「…むねがあつかった」
「それは嬉しかったからだ。ラピスが良かったと…ありがとうと言いたくなったからだ」
「ありがとう…かんしゃのコトバ………エリナ、ありがとう」
「………こっちもよ。楽しかったわラピス。ありがとうね」
「ん。アキト、ありがとう」
「ラピス…そういうときはな」
俺はラピスの頬に両手を押さえる。
「アキトくん!?」
そのまま親指で口の端を持ち上げる。
「ファキト?」
「嬉しい時や楽しい時は、こうやって笑うんだ」
「わら、う?」
……………
手を離すと、ラピスが俺達を見上げながら微かだが笑った。
「アキト、エリナ、ありがと
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