第四章、その2の2:小さく、一歩
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される」
「・・・巫女服は?」
「見た事が無いから噂話に過ぎんが・・・白いひらひらの服らしい。しかも肌の露出が多いとか」
「・・・・・・ふーん、そうなんだぁ」
肌の露出、という部分に満足げに瞳を開いて何度も頷く。ユミルはジト目でそれを睨んだ。
「盗むなよ、パウリナ?」
「や、やだなぁ、そんな事しませんって。ただ巫女の方と仲良くなって拝借するだけですから・・・互いの合意があれば大丈夫でしょ?」
「ないわ、馬鹿者」
微苦笑を浮かべてちびりと葡萄酒を煽ったパウリナから視線を逸らし、ユミルは盛んな炎を上げる篝火を見詰めた。吊るされた焼き鹿から脂が滴り落ち、爛れた肌を伝ってぽつりと炎の中へと消えて行った。
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「・・・では、この議題は以上の如く裁可するという事で宜しいかな?」
『異議なし』『同意します』『無論だ』
静謐に包まれた宮廷の一室の中、異口同音の賛同が上がり、レイモンドは満足げに首肯した。裁可された議題が記載された巻物を横にずらし、次なる議題を取り寄せる。巻物に記された文面を見て一度眉間を押さえ、言葉を出す。
「では次の議題に移る。昨今王国臣民に不安の種を落としている、憲兵達の乱暴についてだ。具体的な事案については、配布してある資料を参照して欲しい」
「・・・聞くに堪えず、そして見るに堪えん。なんとか改善せねばなるまい」
見事に設えられた大理石の円卓を囲むように、幾人もの老いた男達が座り込む。その内の一人が零した言葉に幾人の者達が首肯をし、或いは露骨に巻物を机上に放る。文面に走るのは数々の乱暴の概要であり、心胆寒からしめるものから、義憤を込み上げさせるものまで選り取りみどりの内容であった。全てが憲兵達が行った悪行だとするのならば、王都に約束されていた秩序とは一体何なのか、今一度考え直す必要があるようだ。
レイモンドは白髪を撫で付けて、向かいの席に座って沈黙を保つコーデリア王女を見遣り、再び巻物に視線を落とした。
「これらの事案について、残念だが、当事者間の和解は為し得ないものと見て良いだろう。それほどに惨く、解決の糸口が見えぬものだ。即ち我等宮廷中枢の者達が一手を加えぬ限り、状況は改善の余地を認められん。憲兵長も同様の意見を持っておる」
「つまり何らかの政治的な介入は必然、という訳だな」
「そう言っておる。この問題について、誰か意見はあるか?・・・ブルーム卿」
切れ長の瞳を静かなままに、軽く挙手していた手を下ろしてブルーム卿は語っていく。
「執政長官殿、指名に感謝する。私の考えとしては、当該事件を起こした悪徳な者達の処罰は当然として、二度とこのような事態を起こさぬよう、憲兵の監視機関を設ける必要
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