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王道を走れば:幻想にて
第四章、その2の2:小さく、一歩
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彼女は心中に言葉を零す。

(・・・これでいいんだよね、ケイタク)

 他人を信じる事。自身はそれを、公民問わず、遍き人々の善意を信じる事と解釈した。自らが取った初めての一歩は朧のように不安定に見えて、彼女は心中で想い人に問う事で、自信を確立しようとしていた。
 机に肘を突いて口元を隠す彼女を見て、執政長官は彼女の提案に確信的な危惧を抱きながらも、それをあっさりと引っ込める。己の大望を実現するためには、その程度の危惧などそれこそ部屋の隅に溜まる埃の如く、矮小な事物であったのだ。
 この日の議論中、王女は思う所あれば少なからず意見を出し、例には見ないほどの政に対する積極さを見せ付けた。この日以降宮廷において、王女に対する認識は少しずつ変わっていく。第一王女の如き凛然さを彼女に見出す者達が現れるのも、そう遠くは無い出来事であった。

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