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王道を走れば:幻想にて
第四章、その2の2:小さく、一歩
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、貴女どこ触ってぇ!?やぁっ・・・!」
『見たいよー。ずるいよー』
「・・・ちょっと失礼します」

 鎧を巡ってすったもんだを繰り広げるアリッサとリタを置いて、キーラは馬車から出て行き、天上部分に向けて声を掛けた。

「ちょっと黙ってていただけます、ケイタク様?」
『い、いやだってこんなの酷いじゃないか!皆オアシスなのに俺だけサバンナよ!?身体がかさついて水分失っちゃうじゃない!』
「だから頭に濡れ雑巾を被せているのではないですか。辛抱なさい」
『い、いや、そういう問題じゃなくてですね・・・ってかなんでそんなに怒っているの?俺、皆を怒らせるような事した?・・・まさか・・・コーデリアとしちゃったった事にーーー』
「えい」

 キーラはグラスの中に残っていた水を空に撒く。透明で冷ややかな滴が青空に泳ぎ、雨のように降り注いだ。素っ頓狂な悲鳴が漏れるがキーラはそれを目もくれず、馬車の中に戻っていく。そして、呆れ混じりの口調で言う。

「・・・アリッサさん、夏はその程度の薄着でも風邪は引きませんよ?御安心下さい」
「いい訳あるかぁ!誰かに見られたらどうするんだぁ!」
「私達以外見ませんよ。そんなに恥ずかしがらなくても、いいではありませんか」

 胴と脚を覆う鎧を床に置き、肌着すら脱がされて、アリッサは胸元を隠して羞恥と怒りに顔を赤らめる。汗と熱で艶やかな光を帯びている白い肌を包むのは、股を隠す白布一枚のみである。飾りも無く、ただ羞恥の場所のみを隠すだけ布は汗で濡れて、引き締まった肌に吸い付いている。騎士としての鍛錬の結果が身体全体に現れており、女性としては腕周りも太く、腹筋もかなり引き締まっている。だがそれに反比例するように双胸は小さなサイズであり、掌に収まる程度のものしかない。それを必死に二人から隠そうとする努力は、実に微笑ましく憐憫を誘うものであった。
 翠色の瞳を潤ませながら、彼女は二人に告げる。

「・・・お前ら、分かっているよな?」
「はいはい、私達も脱ぎましょうか」
「そうですね」

 扉をさっと閉めて密室を作り出し、キーラとリタは汗を吸った衣服をさっさと脱いでいく。リタは恥ずかしがる素振りなど見せず、大胆にも己の御淑やかなメイド服を脱ぎ取り、惜し気もなく己の裸体を披露した。美の彫像のように膨らみと引き締まりの程度を押さえ、調和させた身体であり、均整の取れたものである。涼しげに涙黒子のある目を緩ませて、そっと己の臀部を伝う汗を払う姿は、一種の清らかさすら感じさせる。アリッサはその身体に一抹の敗北感を覚える。胸の大きさは己よりも大きく、肌全体に女性的なきめ細かさが現れていたからだ。
 一方でキーラは令嬢らしく、上下の可憐な水色の下着を身に着けており、アリッサは思わずジト目でその豊満な身体を睨む。富と温和さを
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