第三章
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「まだまだ」
「これからじゃ」
「逆転や逆転」
「全然怖くないわ」
「そうですよ、これからです」
千佳も落ち着いていた。
「逆転すればいいだけです」
「今年のカープが違うわ」
「試合はここからじゃ」
「カープの粘り見せたるわ」
「それが伝統じゃ」
沸き立つ三塁側を見ても冷静だった、そのファン達にカープ戦士達は応えて。
見事逆転した、ここで今度は一塁側が総立ちになった。
「やったのう!」
「逆転じゃ!」
「後は抑えてじゃ!」
「勝ったるわ!」
「今日で決まりじゃ!」
「カープ優勝するけんのう!」
「はい、優勝です!」
勿論千佳も立っていて叫ぶ。
「今日で決まりです!」
「いけカープ!」
「いったるんじゃ!」
「甲子園で胴上げじゃ!」
「やったらんかい!」
赤い旗が乱舞しメガホンが舞い。
広島ファン達は今日こそはと騒いだ、その中で試合は進み。
九回裏阪神の攻撃が終わった時にだ、広島ファン達は歓呼の大絶叫をあげてそのうえで緒方監督の胴上げを見た。
その中で千佳は何度も跳び上がってだ、周りのおじさん達に言った。
「今年もやってくれましたね!」
「ああ、カープ優勝じゃ!」
「今年も優勝したわ!」
「ほんまよおやってくれたわ!」
「クライマックスもこの調子でいくんじゃ!」
「はい、勝ちますよ!」
千佳は自分と同じくはしゃぐおじさん達に言い鯉女達ともだった。
喜びを分かち合う、そのうえでだった。
大喜びで家に帰った、そうして家に帰るなり母に言った。
「優勝したわよ」
「もう知ってるわよ」
母はその娘にあっさりとした調子で返した。
「スマホで見たから」
「そうなの」
「ええ、お兄ちゃん帰ったら御飯にするから」
「今頃怒り狂ってお家に帰ってきている頃ね」
「自転車でね」
「お父さんは?」
千佳は母にもう一人の家族のことを聞いた。
「ゲームしてるの?」
「そうよ」
「いつも通りね」
「ええ、それでね」
「お兄ちゃんが帰ったら」
「御飯にするからね」
「カツ丼とポテトサラダね」
千佳は母にメニューの話もした。
「そうだったわよね」
「あと若布のお味噌汁もあるから、デザートは無花果よ」
「その二つは私は普通だけれど」
「お兄ちゃん好きでしょ」
「ひょっとして」
結果として寿の好物ばかりだからだ、千佳はあることに気付いて母にそのあることについて尋ねた。
「お母さんも今日は」
「阪神が負けるって思ってたっていうのね」
「それでお兄ちゃんが好きなものばかりにしたの?」
「だって阪神ってね」
千佳が思っている通りの返事だった。
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