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絶対将棋
絶対将棋
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[9] 最初


「さっきの見ただろ?あの女に突っかかるバカはいない」
 そう言ってクーを突き飛ばし最後の男優も帰って行った。
 クーが水樹の方を見ると自分を睨んでいる。
「ああ、あれですよ水樹さん、牧村も言ってたでしょ?余興ですよ余興、もうすぐ最後の1局をしますので……なんなら今日の撮影は中止にして後日でも構いませんよ」

 水樹は合気道の達人だ、クーを叩きのめしてこのまま帰る事もできる、その後に警察に行けばクーは逮捕されるかも知れない。
「目をつむるわ、最後の対局をお願い、もちろん負けたらAVに出るわよ、そのかわり勝ったらよろしくね」
 片眼をキュッとつむりながら告げる、1000万円が欲しいし何よりも将棋が好きなのだ、もちろん自信もある。

 そして最後の対局だ、相手は元女流名人だ、相手にとって不足はない。
「お願いします」
 2人同時に礼をする、先手は元女流名人だ

 パチンパチンと駒の音がする。
 水樹は笑顔で誰に話すでもなく。
「将棋は飽きない、将棋は小さな幸せだ」。
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