ペルソナ3
1857話
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姿を見つける。
今こっちにやって来たらしく、どうやら俺の話は聞こえていなかったらしい。
運がよかったな。
「よお、順平。今日は随分といつも通りだな」
「いや、それは言葉が変じゃないか? ……うん? 何かあったのか?」
俺に言葉を返しながら、順平は周囲の様子が変だという事に気が付いたのだろう。
不思議そうに周囲を眺める。
だが、俺はそれを気にした様子もなく、順平と一緒に校舎に向かう。
「ま、ちょっとあったんだよ。……それより、有里は今日から何日か学校を休むらしいぞ」
「え? 何でだよ? つか、何でアクセルがそれを知ってるんだ?」
「ちょっとした伝手でな。……何でもちょっと怪我をして入院したらしい」
病気で入院という言い訳も考えたのだが、それだと退院してきた時の事を考えると、怪我の方が理由付けはしやすいだろうという考えだ。
それに、病気だと退院した後に体育とかで休ませられる可能性もあるし。
……もっとも、有里は何気に面倒くさがり屋なので、寧ろ体育を休める事を喜ぶかもしれないが。
ともあれ、有里が入院したという話はしっかりしておく方がいい。
そう考えて、順平にそう告げたのだが……ふと、何かに気が付いたように順平の表情が曇る。
「有里が入院して休みって事は……クラスの女達が色々と騒ぎそうだな」
小さく呟かれたその言葉に、俺は思わずといった様子で頷いてみせる。
順平の言葉が事実だと、そう理解してしまったからだ。
クラスの女……いや、2年の女や、場合によっては1年や3年の女にも、有里は人気がある。
友近から聞いた話だと、ファンクラブまで作られつつあるという話なのだから、それがどれ程の人気なのかが分かるだろう。
もっとも、有里本人は決してそれを喜んでいる訳ではないようだが。
それも、分からないではない。
もし有里が女に対して貪欲であれば話は別だったのだろうが、生憎――いや、幸いか――と有里本人はそこまで女好きという訳でもないらしいし。
どちらかと言えば、あの気怠げな態度のようにどうでもいいと思っているのは間違いない。
結果として、有里は多くの女に好かれているが、本人は出来れば面倒臭いからそういうのは止めて欲しいと思っている、と。
この辺は昨日の昼休みに有里から直接聞いたので、間違ってはいないだろう。
……女達にしてみれば、自分たちの魅力を完全否定されている気がして、面白くないのかもしれないが。
いや、寧ろそうやってすぐに自分達に興味を抱かないからこそ、好意的になるのか?
高嶺の花的な意味で。
ともあれ、順平と話しながら学校に向かい、何とかこっちを見てくる視線から逃れる事に成功する。
そうして教室に入ると、当然のように既にゆかりは自分の席に
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