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レーヴァティン
第二十五話 最後の修行その一

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           第二十五話  最後の修行
 謙二は彼の師匠でありこの寺の住職でもある老師についてだ、寺の廊下を進みつつ同行している英雄と正に話した。
「非常に素晴らしい方でして」
「人としても僧侶としてもか」
「はい」
 そうだというのだ。
「非常に」
「それでこの寺に入ってか」
「この日に備えて修行をしていました」
 そうだったというのだ。
「今の今まで」
「そうだったのか」
「はい、老師にも既にお話しているので」
「時が来れば旅に出るとか」
「そう申し上げていたので」
「だからだな」
「駄目だと言われることは」
 旅に出ることを許さないことはというのだ。
「ありませんので」
「そのことはだな」
「ご安心下さい」 
 英雄に対して微笑んで話した。
「そのことは」
「ではな」
「はい、それでは」
「今からだな」
「参りましょう」
 こう話してだった、英雄達はその老師のところに向かった。
 老師はこの時寺の本堂にいた、そこで経を読んでいたがそれが終わってからだ、謙二は彼のところに来て言った。
「老師、実は」
「そちらの方々は」
「はい」
 英雄と正を見つつ話した。
「外の世界から来られた方々です」
「そうか、時が来たか」
 見ればかなりの老齢だが背筋はしっかりしている、中背で穏やかな顔つきである。
「そなたが世に出る」
「宜しいでしょうか」
「前に答えた通りだ」
 これが老師の返事だった。
「行くがいい」
「では」
「最後の修行の後でな」
「その時も来ましたね」
「そうだ」 
 老師は謙二にこうも言った。
「まさにな。ではだ」
「これより最後の修行に入ります」
「そうするがいい」
「最後の修行だと」
 英雄は老師と謙二のそのやり取りを聞いて言った。
「それは何だ」
「禅です」 
 それだとだ、老師は英雄に答えた。
「それです」
「禅か」
「はい、宜しければ」
「俺もか」
「貴殿も」
 老師は正にも声をかけた。
「如何でしょうか」
「座禅を組み」
「修行をされますか」
 謙二と共にというのだ。
「この度は」
「そうだな」
 英雄が代表して老師に答えた。
「待つ間無為に過ごしても意味はない」
「では」
「座禅はしたことはないが」
 それでもとだ、老師に対して答えるのだった。
「ここはだ」
「円心と共に」
「組ませてもらう」
 座禅、それをというのだ。
「そうして待つ間を過ごさせてもらう」
「それがしもです」
 正も老師に答えた。
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