第百二十六話 神戸の残暑その十二
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「変でしょ」
「マナー違反だね」
「あるのならともかくね」
メニュー、それにだ。
「持ち込んで飲んだら」
「野蛮だね」
「あたしそんなことしないし」
「そこにワインがないとだね」
「もう飲まないわ」
それでというのだ。
「もうね」
「そうするんだ」
「その時は日本酒を飲ませてもらうわ」
「成程ね」
「それに実際和食と日本酒合うし」
「元々合う様になっているしね」
和食を日本酒に合わせたのか日本酒を和食に合わせたのか、この辺りは卵が先か鶏が先かという話だろうか。
「その組み合わせは」
「そうよね」
「そしてワインとパスタもだね」
「そうそう、最高に合うのよ」
「そうなってるのは間違いないね」
「オリーブオイルもチーズもガーリックも」
この三つもというのだ。
「ワインに合ってるね」
「そうよね、イタリアだし」
「イタリアはワインだよ」
何といってもだ、このことは。
「イギリスは違うけれどね」
「しかしイギリスでワインがないというのは」
千歳さんはマフィンを食べてからまた飲んでだ、首を傾げさせた。小柄な身体全体がもう紅に染まってしまっている。
「不思議ですね」
「ティーセットと合うから?」
「確かにウイスキーの国ですが」
「よく飲むっていうんだ」
「ジェームス=ボンドが結構飲んでいた様な」
「ああ、あの人だね」
伝説のスパイだ、その活躍は超人と言っていい。
「あの人は美食家だから」
「イギリス人でも」
「うん、快楽主義者でね」
何でも何時死ぬかわからないかららしい。このことはさっき思ったバンコラン少佐もだ。というか少佐のモデルになったのが007なんだろう。
「そちらも楽しんでるから」
「ワインもですか」
「飲んでるんだ、それとね」
「それと?」
「あの人は紅茶嫌いだしね」
「あれっ、イギリス人でも」
「何でもイギリス人はこんなの飲んでるから駄目だとか」
そんなことを言っていてだ。
「嫌ってるんだ」
「そうなんですか」
「うん、結構独特なイギリス人だよ」
「ではコーヒー派でしょうか」
ティーセットはかなり減っている、もう三人で食べればそれで完全になくなる状況だ。ついでに言えばワインも三人共あと一杯位だ。
「あの人は」
「そうだったかな」
「ではティーセットも」
「コーヒーセットになるね」
一緒に飲むのがコーヒーになるからだ。
「必然的に」
「そうですか」
「まあそこはね」
何というかとだ、僕は千歳さんに話した。
「言葉遊びかな」
「それになりますか」
「イギリス人もそうした遊び好きみたいだけれど」
ルイス=キャロルを読んでいるとそうじゃないかと思う時がある。英語の原語だともうそれはかなりのものらしい。
「コ
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