94終わりの始まりの悪夢
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
か、思い詰めた表情の名雪まで現れた。
「ねえ、祐一? 真琴とはどうするつもりなの、今日もベッドで裸で寝てたって事は、そう言う事だよね、えへへっ」
俯いて無理に笑う名雪の瞼からも、涙の筋が伝っていた。
「ゆっ、祐一さんっ!」
単に後輩に告白されたとか、思わせぶりな会話程度なら、誰かの作り話とも思えたが、同居している姉の親友の話なら確実である。
「あゆちゃんとか先輩二人とはどうなってるの、それに… わたしのお母さんとまで関係があるなんてひどいっ! ひど過ぎるよぉおおっ!!」
顔面蒼白でその話を聞いている美坂姉妹。
「祐一さん…」
「あなたやっぱり名雪とも… その上、秋子さんとまで」
「私を「抱いた」のも、ただの遊びだったの? 私も香里も、栞ちゃんも、真琴も、あゆちゃんも、お母さんも、後輩も、先輩達も、沢山いる女の一人だったの?」
「イヤァアアアアアアッ!!」
先にキレたのは栞だった。
チキチキチキチキッ!
四次元ポケットから素早くカッターナイフ(業務用特大)を出すと、左手の袖をめくり、刃を全部出して手首に押し当てようとする。
「やめなさいっ!!」
香理と揉み合って、髪を振り乱して暴れる栞。
「嫌ぁああっ! 死なせてっ! もう死なせて〜〜〜〜〜!!」
半狂乱で泣き叫び、何とか手首を切ろうとする栞、だが祐一はそれを止める事ができなかった…
名雪が包丁を構えて、自分に向かっていたから。
「ゆういち、いつまでも側にいてくれるんでしょう?だったら一緒に死んでよっ!」
「待て、早まるなっ!」
「ゆういちを殺して私も死ぬ〜〜〜っ!!」
陸上部と通学で鍛えた俊足が、ついに役立つ時が来た。両手で包丁を握って一気に間合いを詰め、逃げる隙すら与えず突き進む。
「待てっ! 名雪っ!」
「うわああああああああ!!」
祐一君、絶対絶命(笑)
ザシュウウウッ!!
(終った……)
名雪が自分に体当たりして倒れる時、全てが終った爽快感が身を包み、不思議と痛みは無かった。
「うわあああっ!ああああ〜〜〜〜〜!!」
祐一の上で泣いている名雪。
「嫌ぁああっ!ああああ〜〜〜〜〜〜〜!!」
向こうでは香理に抱かれている、栞の泣き声が聞こえていた。
(栞は大丈夫なのか?)
しかし、目の前が真っ暗になり、何も見えなくなって行く。
「…祐一」
「?」
「起きろ」
ポカッ!
誰かに木刀で殴られ目を開く。
「舞…」
木刀を持った舞は、柄の無い包丁と、根元から折れたカッターの刃を見せた。
「…問題無い」
どこかの国連機関の司令官のようなセリフを残し、去って行く舞。
『は〜い、撮影終わりです〜、ふぇ〜、皆さん名演技でしたね〜』
後にはビデオカメラを持った佐祐理が現れ、ギャラリーを解散
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ