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翠碧色の虹
第十五幕:ふたつの虹と一緒に
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機関車の中にあるモーターを回して走るようだ。俺が知っている電車のおもちゃは、機関車の中に電池とモーターが入っていた為、外部から制御する事は出来なかったが、この方式なら外部から速度や進行方向の制御ができるという事か・・・。機関車の動かし方と言っても、速度の調節と、進行方向くらいなので、覚えるという程の事ではない。俺は、しばらくその蒸気機関車を動かし、眺めていると、童心に帰る感覚を覚えた。

七夏「柚樹さん?」
時崎「え!?」

しばらく、その模型に夢中になっていたようだ。

七夏「くすっ☆ 男の人って、こういうの・・・好きなのですね☆」
時崎「うぅ・・・すまない」
七夏「私は、別にいいと思います♪」
時崎「七夏ちゃんは、鉄道模型の掃除を頼まれたりしてるの?」
七夏「はい。出来る時に、時々ですけど」
時崎「特に鉄道模型が好きという訳ではないのに?」

俺がそう言うと、七夏ちゃんは奥の棚から、ひとつの蒸気機関車の模型を持ってきた。ぱっと見では今、俺が動かしている模型とそんなに変わらないように見えたが、注意深く見てみると、機関車の先頭付近、片方の部品が折れていて、修復を試みた形跡がある。

時崎「これは・・・?」
七夏「この模型さん、幼い頃に、私が落として壊してしまって・・・」

七夏ちゃんが続ける・・・。昔、お父さんの部屋で遊んでいた時に、過ってこの模型を落としてしまったらしい。それを、なんとか修復しようと試みたが、当時の七夏ちゃんでは無理だったようで・・・

−−−−−当時の回想1−−−−−

七夏「ひゃっ! あっ! ど、どうしよう・・・」

落としてしまった模型は、一部が破損していた。七夏ちゃんは、それを接着剤で修復しようとするが、上手く行かない。色々と手を尽くしてはみるが、時間ばかりが経過してゆく・・・七夏ちゃんは、どうしたらいいのか分からず、その場で今にも泣きそうな状態を必死に堪えていた・・・。

直弥「ただいま」
七夏「!!!」

七夏ちゃんのお父さんが帰って来た事が分かり、一気に涙が溢れてきた。

直弥「七夏!? どおした?」
七夏「お父さん・・・ごめんなさい・・・これ・・・」

七夏ちゃんが、壊してしまった模型を、お父さんに見せる・・・。

直弥「あっー! 門デフがっ!」
七夏「ご、ごめんなさいっ!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−

七夏「私、お父さんが大切にしている模型さんを壊してしまったから、絶対怒られると思って・・・」
時崎「え? 怒られなかったの?」
七夏「えっと、怒られました・・・」
時崎「やっぱり・・・」
七夏「でも・・・」

七夏ちゃんが続ける。

−−−−−当時の回想2−−−−−−

直弥「七夏」
七夏「はい・・・っ!」
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