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翠碧色の虹
第十五幕:ふたつの虹と一緒に
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して・・・。

七夏「??? 柚樹さん、どうかしました?」
時崎「ちょっと、訊いていいかな?」
七夏「はい」
時崎「七夏ちゃんって、鉄道好き?」
七夏「え? まあ、好きか嫌いかで言えば、好き・・・かな?」
時崎「じゃあ、好きか嫌いか普通で言えば?」
七夏「えっと・・・普通・・・です」
時崎「そ、そう・・・普通・・・か・・・」
七夏「あ、これは、お父さんの趣味で、お掃除は、時々私もお手伝いしてます☆」

七夏ちゃんは、俺の質問の意図を理解したらしく、そう答えてくれた。なるほど、鉄道模型は、七夏ちゃんのお父さんの趣味・・・という事か。いや、別に七夏ちゃんの趣味が鉄道模型だったとしても、構わないと思うけど。七夏ちゃんは、お父さんのお手伝いとして模型の掃除を行っているようだ。凪咲さんのお手伝いも行っている事を考えると、然程不自然な事ではない・・・か。模型の掃除をしている七夏ちゃんを見ると、特に模型の底面・・・車輪を入念に掃除しているようだ。

時崎「車体の底面も入念に掃除するんだね」
七夏「え?」
時崎「底面ってあまり見えないのに・・・と、思ってね」
七夏「あ、この模型さんは、車輪から電気を受けて走りますので」
時崎「車輪から電気?」
七夏「はい。線路に電気が流れていて、それを車輪で受けて走ります」

俺は、七夏ちゃんの言っている事が、ちょっと分からなかった。

七夏「柚樹さん。こっちに来てくれますか?」
時崎「あ、ああ」

七夏ちゃんについて行くと、そこは、七夏ちゃんのお父さんの部屋だろうか・・・今まで入った事が無い部屋だ。民宿とは言っても、自分が案内された場所以外は入らないから、そう考えると、まだ知らない事が沢山ありそうだ。

七夏「柚樹さん。どうぞ☆」
時崎「おっ! これは!?」

そこには、部屋の片隅、畳一畳ほどの大きさの場所に、小さな線路が敷かれていた。それを見た俺は、幼い頃に、青色のレールの上を走る電車のおもちゃで遊んでいた記憶が蘇ってきたが、ここにあるのは、もっと本格的なやつだ。七夏ちゃんが、先程掃除していた蒸気機関車の模型を、何かヘラのような物を使って線路に乗せる。そして、手元にあるコントローラーのようなつまみをゆっくり動かすと、先程の蒸気機関車が、ゆっくりと走り出した。

時崎「あ、動いた!」

精密な模型が、ゆっくりと動き出した時は、ちょっとした感動を覚えた。模型をよく見ると、ヘッドライトも光っているようで、小型ながら、なかなかの迫力がある。しばらく、その模型に見入ってしまっていた。

七夏「柚樹さんも、動かしてみます?」
時崎「え?」

俺は、七夏ちゃんから動かし方を教えてもらい、ゆっくり走っている蒸気機関車の操作を行ってみる。なるほど、この模型は線路に電気が流れ、
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