第十五幕:ふたつの虹と一緒に
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いなーと思ってね」
七夏「・・・・・」
なるほど。おむすび作りに拍手は、凪咲さんから七夏ちゃんへのバトン・・・という事か。そして、俺は七夏ちゃんからバトンを受け取った事になる・・・このバトンは誰にも渡したくない・・・そんな事を考えている自分に気付き、心拍数が追いついてくるようだった。俺が本当に追いかけたいのは虹ではなく・・・それは−−−
時崎「ところで『おむすび』なんだね?」
七夏「え!?」
時崎「『おにぎり』じゃなくて・・・」
七夏「あ、はい☆ おむすびです♪ ご、ご縁を結ぶという意味です♪」
時崎「なるほど・・・」
七夏「えっと、お母さんの受け売り・・・です・・・」
時崎「な、なるほど・・・」
七夏ちゃんや、凪咲さんとのご縁が今後も続いてほしいと思う。七夏ちゃんと一緒に結んだおむすびは、形は不揃いでも、味はとても優しかった。
時崎「ごちそうさまでした」
七夏「はい☆ ごちそうさまです♪」
凪咲「柚樹君、ありがとう。美味しかったわ!」
時崎「そんな・・・お粗末さまです」
七夏「くすっ☆」
時崎「七夏ちゃん?」
七夏「はい?」
時崎「午後から時間あるかな?」
七夏「えっと・・・ごめんなさい。まだちょっと宿題が残ってて・・・」
時崎「そう・・・じゃあ、俺は、ちょっと出掛けてくるよ」
七夏「はい☆」
俺は、アルバムの素材として使える写真を撮影しに、出かける事にした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時崎「昼過ぎに虹は現れない・・・か・・・」
ブロッケンの虹がよく現れる場所・・・ここで、ブロッケンの虹を撮影したのが随分前の事のように思える。七夏ちゃんは、ブロッケンの虹の事を知らないようだった。この街に住んでいるのなら、この場所の事は知っていると思うのだが、虹に関する場所なので、七夏ちゃんにとって辛い思い出がある可能性も否定できない。とりあえず俺は、コントラストが良いこの風景を撮影しておく。七夏ちゃんがこの場所に辛い思い出が無い場合、アルバムの素材として使えるかも知れない。
どのくらい空を眺めていたのだろう・・・本来の予定なら、この場所に結構来る事を覚悟していたのだが、今はもっと大切な事がある。必要な素材を撮影し、買い物を済ませた俺は、民宿風水に戻る事にした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
民宿風水に戻る。居間に七夏ちゃんが居るようだ・・・と、同時に鼻を突く薬品のような香りを微かに感じた。
七夏「あ、柚樹さん、お帰りなさい」
時崎「ただいま。七夏ちゃん。何をしているの?」
七夏「えっと、お掃除です」
時崎「お掃除?」
七夏ちゃんの手元には、小さな蒸気機関車と綿棒・・・これは、鉄道模型というやつかな・・・それを、七夏ちゃんが掃除しているという事は、もしか
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