第十五幕:ふたつの虹と一緒に
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「それは大丈夫」
七夏「良かった」
時崎「しかし、このままでは・・・」
七夏「柚樹さん、こうしてください」
そう言うと、七夏ちゃんは、手をパチパチと叩き出した。それは、いわゆる拍手だ。俺はその拍手の意味が分からなかったけど、ここでは七夏ちゃんに言われたとおり一緒に拍手をする。
パチパチパチパチパチパチパチ・・・・・。
七夏「そのまま、続けててくださいね☆」
時崎「あ、ああ」
俺がパチパチと拍手を続けている間に七夏ちゃんは、再びおむすびを作りはじめる・・・なんだこれは? 俺は七夏ちゃんがおむすびを作るのを拍手で応援しろという事なのか!?この構図を他人が見ると、そういう風にしか見えないよ・・・いや、どう考えてもっ!!!
七夏「柚樹さんっ!」
おむすびをひとつ作り終えた七夏ちゃんが、声を掛けてきた。
時崎「え!? な、何?」
七夏「ごはん、よそってください!」
時崎「あ、ああ」
何かもう訳が分からなくなってきたけど、俺は七夏ちゃんに言われたとおり、桶からご飯をよそう・・・
時崎「あれ? 熱くない!?」
先程から、多少の時間経過はあるが、そんなにすぐに桶の中のご飯が冷めるとは考えにくい・・・これは一体・・・そう考えていると−−−
七夏「柚樹さんっ! 急いでごはん、むすんでください!」
時崎「え!? あ、ああ。すまない」
俺は、七夏ちゃんが行っていたようにむすんで、窪みを作る・・・。
七夏「具は何にしますか?」
時崎「じゃあ、うなぎで」
俺がそう言うと、七夏ちゃんは、具の刻みうなぎを手に取り、俺の作った窪みに乗せてくれた。
七夏「はい☆」
時崎「ありがとう」
七夏「後は、こうして・・・」
そう言いながら七夏ちゃんは、俺の手を外から優しく包むように補助してくれた。七夏ちゃんの手の温もりが伝わってくるのが心地よい・・・その手の温もりが、おむすびの温もりと混ざってしまうのが、勿体無いと思ってしまう。
七夏「はい♪ こんな感じです☆」
時崎「・・・・・」
七夏「??? 柚樹さん? どうかしましたか?」
時崎「いや、手を添えてくれて、ありがとう」
七夏「くすっ☆ 力加減を伝える為には、この方法が一番なのです☆」
時崎「なるほど」
今までも色々な意味で七夏ちゃんには驚かされているが、その行動一つひとつに、ちゃんと意味があるんだなと、改めて思ってしまう。
七夏「後は海苔を巻いてくださいね。あ、海苔は無くてもいいですよ☆」
時崎「ああ、分かったよ」
こうして、俺は七夏ちゃんのおむすび作り、なんとか手伝えたかな。おむすび作りが単純で簡単だという思いは払拭された。七夏ちゃんくらい手際よく作るには相当な訓練が必要だと実感した。
凪咲「あら
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