ターン81 邪魔の化身とラスト・『D』(邪)
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せん!視聴者の皆さんとともに、このデュエルを最後まで見守っていきましょう!」
カメラの死角になる位置で、やや体より大きめな上着を羽織って帽子をかぶりマスクをつけた上に眼鏡までしているせいで表情どころか性別すら読めないのスタッフらしき人が自分の手首をこれ見よがしに叩くジェスチャーをする。そのまま片手を大きく上に挙げ、開いた指を1本ずつ折りたたんでいく。あれが、本番のカウントダウンがわりなのだろう。5……4……3……。
「そこまで堕ちたか、万丈目……!」
神経を集中させていた僕だからかろうじて聞き取れた程度の小声で、エドが苛立ちを見せる。多分、八百長の存在がエドにも伝えられたのだろう。間違っても試合を断られないように、こんなギリギリになるまで伝えない。効果的かもしれないが、やり口がいちいち汚い。2……1……。
「「デュエル!」」
カウントダウンを終えたスタッフが、相変わらずカメラの死角を縫って足音を殺し後ろに引いていく。撮影の手伝いでもするのかと思ったら、万丈目陣営のすぐそばまで歩いていきそのまま観戦モードに入ってしまった。随分くつろいでいるけれど、撮影とかいいんだろうか。
そんな動きには誰も気づかず、ついに2人のデュエルが始まった。万丈目の言葉通りなら、少なくとも今はまだ2人とも本気で戦うはずだ。
「僕の先攻だ!魔法カード、デステニー・ドローを発動。手札のドレッドガイをセメタリーに送ることで、カードを2枚ドローする。モンスターをセット、さらにカードを2枚セットしてターンエンドだ」
エドにしては大人しい立ち上がりで、守りを固めるだけでターンが交代する。だが万丈目の着ぐるみに包まれた表情には、ひとかけらの油断もない。
「俺のターン、ドロー!魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!手札のモンスター1体をコストに、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚する。来い、カオス・ネクロマンサー!」
「あーっと、おじゃ万丈目、またしてもデッキを変更したのか?カオス・ネクロマンサー、あれは墓地のモンスターの数により攻守を変動させるモンスターです!ですが今のおじゃ万丈目の墓地には、たった今コストとして墓地に送った1体しかモンスターが存在しないぞ!?」
カオス・ネクロマンサー 攻0→300
「カオス・ネクロマンサー……」
確かに、レポーターのお姉さんに見覚えはないだろう。あの時万丈目はただのいち生徒だったのだから、あるわけがない。だけど、この学園にいる僕らは知っている。あれは万丈目がかつて1度だけ使用した縛りデッキ、【攻撃力0】において逆転の切り札となったカードだ。
あれ以来使ってこなかったあのカードをここでデッキに入れてきたということは、その意味するところは1つ。万丈目はこの1戦、自分の持ちうるす
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