暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン81 邪魔の化身とラスト・『D』(邪)
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の最後のDカードとやらを盗んで来いってことだろ?」

 これだけ言われても、十代はあまり気が乗らないらしい。僕だってタイマンや闇討ちならともかく、盗みになんて手を染めたことはない。
 ないが、そういうことがいかにも得意そうな人は知っている。ただあの人に頼むとなると、別の場所から物凄いしかめっ面が僕に向けられるのは目に見えている。かといって他にあてもなく、気は進まないがため息を1つついてPDFを取り出す。番号を打ち込みながら、イエローに釘を刺しておいた。

「イエロー。今から代引きで送り返したげるから、帰ったら万丈目に伝えといて。これ、いっこ貸しだからね」

 ……なんてことを言ってから、時は流れて2日後。再びやって来たテレビカメラや取材スタッフといった部外者でアカデミアが賑わう中、僕もまた本業に精を出してい……られたら、どれほど儲けが出ただろう。確かにおじゃ万丈目デビュー戦の時にも大々的な売り出しをやったばかりなので今回はスルーしてもよかったといえばよかったのだが、だからといって何もせずに見過ごすのはあまりにもったいない。
 残念ながら、今日は少し勝手が違うのだ。「当日需要はいいんですか?」という葵ちゃんの疑問を振り切ってまで、本日休業の宣言をしたのには理由がある。
 おジャマ・イエローから助けを求められて、はや2日。マイクなる悪徳プロデューサーについてはその道のプロに代わりに頼んでおき承諾も得たのだが、その時からなぜか全く彼女と連絡がつかない。最初の反応が結構乗り気だったからこの件は早いとこ、それも万丈目たちが島に来るより先に片付くだろうと踏んでいただけに、正直この展開は想定外だ。とにかく万丈目とは本番前に話し合っておく必要があると思ったので、本業はすっぱり諦めたのだ。

「万丈目、万丈目ー」
「万丈目サンダー、だ。それよりその声、清明か?」

 普段は更衣室の扉におじゃ万丈目様、と書かれた張り紙を張っただけの控え室の前に立ち、軽くノックして返事も聞かずに即ドアを開ける。放送開始までは、まだ少しある。まだ着ぐるみは着なくていいのか、いつもの黒服姿の万丈目がそこにいた。
 僕の顔を認めて何か言おうとしたのか口を開きかけたのを手で制し、まず謝ろうと頭を下げる。

「万丈目、実は……」
「準、入るぞ」

 まだ話し始めるかどうかのうちに扉が開き、どこかで見た覚えのある2人組の男が入ってくる。その顔を見て、万丈目が息を呑んだ。

「兄さん達、どうしてここに?」
「どうしたもこうしたもない。お前がついに政界、財界の我々に続きカードゲーム界にプロデビューしたと聞いてな、祝いの言葉を言いに来たんだ」

 その言葉を聞いて、僕もようやく思い出した。この2人は万丈目長作と、同じく万丈目長次。僕らの知る万丈目の実の兄だ。財界、
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