ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
1章 すべての始まり
1話 すべての始まり
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少女の視界が元に戻り、あたりを見渡すと、そこはゲーム開始時にも来た、“始まりの街”の中央広場で会った。今この瞬間にもあちこちで青白い光が光り、プレイヤーが現れ続けている。この数を見るに、このゲームにログインしているすべてのプレイヤーが集められているようだった。彼らのしゃべっている言葉に耳を傾けてみると、「これでログアウトできるのか?」とか、「用事があるんだから、早く返してくれ」という文が聞き取れる。少女も、すぐ後に少女の隣に転移してきた青年も黙ってその様子を見ているだけだ。
と、突如「あ…う、上を見ろ!」という声が発せられ、その一声で広場は静寂に包まれた。彼らの視線の先には、[Warning][System Announcement]という血のようなフォントで書かれた文字があった。あちこちから、安堵のため息が漏れる。これで現実に戻れると。しかし、彼らの期待が大きく裏切られることを、彼らはまだ知らない。
突如彼らの頭上に、鮮血のように赤いマントを羽織った巨大なローブ姿の人が現れた。実際に巨人というものが世界に存在したとしたら、まさにその大きさだ。ただし、フードをすっぽりとかぶっているのだが、本来そこから見える顔というものがなく、その中身は空っぽのように見える。ぼたぼたと袖から落ちる赤いものは、まるで血のりのようで、見るものをぞっとさせた。
「プレイヤーの諸君。私の世界にようこそ」
声から察するに、そのマントの男の第一声はこれだった。男性にしてはそこまで低くないが、落ち着いた声。
「私の名前は茅場昌彦。今やこの世界をコントロールできるただ一人の人間だ」
茅場昌彦。その名は、このソードアート・オンラインにログインしているプレイヤーなら全員が知っている名だろう。なぜなら、彼こそがこの世界を作り出した張本人なのだから。ゲームデザイナーで量子物理学者、ナーヴギアの基礎設計者でもあり、若き天才と名高い。現代において、知名度はかなり高い人物だ。しかし、彼は人前に出るのは極端に嫌う性格だ。雑誌のインタビューなどにもほとんど応じず、彼の部下などがよく代理として出されたほどである。
「プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合では無い。繰り返す。これは不具合ではなくソードアート・オンライン本来の仕様である」
周りからどよめきのような声が上がる。が、そんなことは聞こえているのか、ただ無視しているだけなのかはわからないが、アナウンスは続く。
「……また、外部の人間による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合――ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、
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