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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生
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着き、砂浜を身体を引きずるように上がっていき、砂浜の中程まで行った所で、エルフ族の少女を右脇に抱えたまま倒れ込んでしまう。
あ、これはちょっとイカン。かも。
嫌な予感がして倉門が声をかけようとした時、彼の左脇に倒れたウェディ族の青年によく似た幽霊が浮かび上がるのを見て、あっと声を上げる。
ウェディ族の青年は、とうとう息を引き取ってしまったのだ。
死ぬな死ぬな、死んじゃいかん。元の身体に今すぐ戻れ。
そう声をかけようとした一瞬。
ウェディ族の青年の魂は倉門の魂の存在に気付き、振り向き、寂しそうに、しかし感謝の気持ちが一杯な表情を向け、そして天高く飛び去ってしまった。
『おい! おい! ばか! 何を勝手にやり切ってんだよ! 成仏してんだよ! あの娘どうするんだ1人にしていくのか!』
天に向かって叫ぶが、答えはついに帰ってこなかった。
途方に暮れて砂浜に横たわる男女を見下ろしていると、遠くで犬の遠吠えに似た叫び声が響いてきた。
浜辺からそれほど離れていない林を見ると、ホルスタイン柄のコウモリに似た奇妙な動物が3体姿を現し、大きな口を開いて近付いてくるのに気付き、それらが恐らく浜辺で倒れている二人を食事にしようとしていると感じて倉門はダメ元で奇声を上げながら幽霊状態にも関わらず拳を振り上げて突進していく。
幽霊状態の倉門が見えるのか、コウモリに似た奇妙な動物はびっくりして林の向こうに逃げ去って行った。
そうこうしている内に日は登り、炎天下の日差しにウェディ族の青年の遺体と、寄り添うように眠り続けるエルフ族の少女の肌を焼いていく。
『とりあえず、動物系は追い払えるってわかったからいいが、どうすんだこれ・・・。勝手に成仏しやがって、諦めよすぎだろバカ魚・・・』
横たわる2人の傍に胡座をかくと、倉門は溜息を吐いて右手で頬杖をついた。
未だ目覚めぬままのエルフ族の少女の顔を覗き込んで見る。
可憐と言うものを体現しているかのような美少女だ。
だからと言って、肉体を持っていたら寝込みを襲うかといえばそんな度胸は微塵もないわけだが。
再び浜辺を見渡してみる。
砂浜自体も相当な広さだが、遠くに岩場があり、背面には防風林とまではいかなくともそれなりに樹木が育っている。
人の手が入っているようには見えなかった。
強い日差しの下、湿気もある海沿いではウェディ族の身体はそう遅くない時間で腐食が始まるはずだ。
脳や内臓がまず駄目になって異臭が出始めるのではないだろうか。
その匂いで起こされたら、この美少女エルフは気の毒だな。などと不謹慎なことを思ってみる。
しかし、それから程なくして、エルフの美少女はけだるげに目を覚ますとウェディ族の青年の腕をほどいて片膝をついて辺
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