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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生
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と、船が強烈な黄色い光に包まれるや、轟音と共に発した電撃を伴う広範囲に渡る炸裂の直撃を土手っ腹に受け、あっというまに爆散する。
倉門にしてみれば、何を見せられようとも何かを出来るわけでもなく、ただ眺めているだけだ。
何かを感じるわけでもなく、爆散した船の残骸が波の上を広がり、流されていくのを自然と追っていく。
気がつけば、倉門の「魂」は映像の世界の中にいた。
漂流する残骸の上を舐めるように飛行していると、生存者らしい影を波の内に見つけて追跡を始める。
セイラー服を纏ったウェディ族の青年が、鎖帷子を着込んだエルフ族の少女を右脇に抱えて必死に泳いでいた。
何度も、何度も、溺れそうになりながら。
見兼ねてか、声が聞こえるかどうかも解らない青年に向かって、倉門は自然と声をかけていた。
『救いたいって必死みたいだな。けど鎧着た人間抱えて泳ぐのって無茶だろう。助かりたいならそんなエルフ捨ててしまえよ』
ウェディ族の青年の表情が、心なしか険しさを増して見えた。
聞こえたのだろうか?
半信半疑で、更に声をかけて見る。
『そんなに助けたいなら、体力のある内に鎧を脱がせよ。重り持ったままよく泳げてるよな。奇跡だよな』
悔しげに歯噛みして、必死に泳ぎ続ける青年。
『胸触ったりあそこ触ったりしてもラッキースケベなだけだ。気にすんな。死の間際にそんな事気にして助けられるのかよ。助けたいのか助かりたいのかどっちだよ』
呆れるように吐き捨てると、ウェディ族の青年が明確な反応を返してきた。
「精霊か悪魔か知らないが、適当な事をいうな!助けたいよ!惚れた女を助けたくない奴がいるか!ふざけるな!」
おお、溺れながらよく喋る・・・。
「力を貸せよ・・・。見てるだけじゃなくて手を貸せよ声だけ悪魔!」
『声だけ悪魔は傑作だな。残念ながらどうやら俺は浮遊霊という奴らしい。声はかけてやるからとりあえず頑張りなよ』
「くそっ、くそっ!」
悪態をつきながらも必死に泳ぐ青年。
やれやれ、と哀れむような声色で、倉門は青年に声をかける。
『おっぱい触っちゃったらラッキーくらいに思っとけ。そしてその娘の鎧を剥ぎ取れ。モラル守って溺れるのかきっちりその娘を助けるのか、はっきりした方がいいと思うぞ』
その声に反応してか、ウェディ族の青年は、波に揉まれながらエルフの少女の身体を弄り始める。
茶々を入れたい気持ちになったが、さすがに我慢して見守っていた。
やがて和装に似た軽装な衣装になったエルフの少女を抱え直し、再び泳ぎ始めるウェディの青年。
それから実に、3時間以上深夜の荒波に揉まれながら、青年は泳ぎ切った。
空が白み始める頃、ウェディ族の青年は何処かの海岸に泳ぎ
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