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KANON 終わらない悪夢
92真琴襲来
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きっと同族です』
「そうなのか?」
 どうやら倉田家も妖狐の一族らしい。
「何ようっ、さっきから一人でぶつぶつ言って、暖かくなったから変になったんじゃないの?」
 すっかり話題から外されていた真琴が、不機嫌そうに言った。
「何だ? お前聞こえてなかったのか?」
「えっ?」
 祐一にそんな言い方をされ、その上、美汐まで驚いた表情をしたので、とっさに取り繕う真琴。
「ふんっ、聞こえてたわよっ、当たり前でしょ」
「じゃあ、何を話してたか言って見ろ」
「何よっ、それぐらい」
 だが聞こえなかった真琴には、いつまで経っても説明できなかった。
「お前、真琴のバッタ物だろう、どこかで偽者と入れ替わったな、本物の真琴を返せっ」
「あう〜〜〜」
「苛めないで下さい、目覚めたばかりなので、力まで無くても仕方ありません」
 また真琴を庇い、優しく抱き寄せる美汐。
「ふんっ、美汐はこんなに優しいのに、祐一ってやっぱり子供ね」
(子供はお前だっ)
 心の声で叫んだ祐一だが、やはり聞こえなかった真琴はキョトンとしている。
「……プッ」
 祐一の仕草と、真琴の表情が絶妙だったので、あの美汐が吹き出し、声を殺して肩を震わせていた、よほど面白かったらしい。
「ははっ、楽しい時は笑えよ、体に悪いぞ」
「はい、うふっ、あははははっ」
 今日、美汐は数年ぶりに心から笑えたような気がした、そして胸の奥に、暖かい物が芽生えているのにも気付いてしまった。
(相沢さん、私も貴方が……、ごめんなさい、真琴)
 少女は小さな心の声で想いを伝えた、しかし、鈍感な男にその声は届かなかった。
「何ようっ、急に笑い出して」
「ふふっ、ごめんなさい、相沢さんがあんまり面白いからつい」
「そうか?」
「はい…、こんなに笑ったの久しぶりです」
「ふんっ、いじわるばっか言って、祐一なんか大っ嫌いっ」
 聞こえなくても、自分が馬鹿にされたのは、何となく分かったらしい。
「そうか、じゃあ帰ったらたっぷり「お仕置き」してやる、首を洗って待っていろ」
「えっ……うん」
 お仕置きと聞いたとたん、赤くなって大人しくなる真琴、朝のお薬?が効いたらしい。
「じゃあ、待ってるから…」
 そこで「早く帰って来てね」とは、恥ずかしくて言えなかった真琴。
「美汐、今日はその、サンキューね。 また来るからっ、バイバイッ」
 そのまま、ピュ〜〜っと音がしそうなぐらい、慌てて帰る真琴、多分、首ならぬア*コを丹念に洗いに帰ったらしい。
「もう二度と来るなっ」
「どうしたんですか、真琴は?」
 ウブでネンネ(死語)な美汐には、真琴の急変が理解出来なかった。
「アメとムチ、動物を飼う時の基本だ」
「そんな、動物だなんて…」
「あのバカに限っては動物で十分だ」

 オマ
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