92真琴襲来
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た。
「どうやって連れてきたんだ?」
「あう〜〜〜」
完全に無視されて、また捨てられたような感じがして、泣きが入る真琴。
「意地悪しないで下さい、一人では寂しくて学校まで来たようでしたので、ここまで連れて来てしまいました」
「それはいいんだが、先生に見付からないで連れて来れるなら、どうしてこうなるんだ?」
窓の向こうには、ダンボのような耳が並び、出入り口では、香里が鬼のような顔をして、こちらを睨んでいた。
「それは…、真琴が自分でおとなしくしている間は良かったんですが、相沢さんを見たとたん押さえられなくなったんです」
やっぱり術を使ったらしい。
「ちょっとあんた達、あたしの祐一に何の用?」
遊びに来た二人を睨みながら、香里がドスの効いた声を掛けた。
(誰がお前の物になったんだ?)
そう思いはしたが、怖くて声には出せない祐一。
『すいません、相沢さんの家の真琴が遊びに来たので、連れて来てしまいました、許して下さい』
「えっ? …ええ」
今の美汐の言葉は、祐一にも変に思えた、そしてそれを聞いた香里も変になっていた。
(嘘だ、あの香里が一言で引き下がるなんて)
「ねこさ〜〜ん」
名雪には効かないらしい。
ポカッ! ぐいっ
「あう〜〜!」
ブンブンブン!
ちなみに上の音は、無視された真琴が 「肉球パンチ」で殴りかかり、邪魔なので頭を押さえて腕を伸ばすと、手が届かないので暴れている、いつもの光景だった。
「あの、せっかく帰って来たんですから、もう少し優しくしてあげてはどうでしょうか」
「ああ、こいつとは毎日こうだったから、挨拶みたいなもんだと思ってくれ」
手を伸ばしたまま、くしゃくしゃと頭を撫でてやると、真琴はまた大人しくなった。
「あう〜〜」
「ほら肉まん出せよ」
確かに腹は減っていたが、やがて来る栞の弁当を思い、胸が悪くなる祐一。
「うん」
ついでに真琴の自前の肉まんでも掴んでやろうかと思ったが、後で香里や男共に袋叩きにされるので、それだけは自粛した。
「おいしい?」
「ああ」
きっと真琴は、「また祐一と巡り合い、一緒に肉まんを食べる願い」でもして来たに違いない。
「コンビニの安物でも、お前が買って来たやつだからな」
「そう…」
口では素っ気無い受け答えをしているが、とても嬉しそうにしている真琴。 尻尾があれば、フサフサと振っているのが見えるようだった。
チリンッ
「それはどうしたの? 真琴」
「うんっ、祐一に買って貰ったのっ」
「そう、良かったわね」
祐一からのプレゼントを見せびらかされ、少し微笑みながらも、寂しそうな複雑な表情になる美汐。
「今度は鈴だけじゃなくて、忘れて迷子になった時にも分かるように、「鑑札」が付いたチョーカー(首輪)で
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