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KANON 終わらない悪夢
90栞も香里も美汐チャンも悪夢
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もこれからは、お腹がすいたら夜でも遠慮しないで起こしていいのよ」
 まるで夜食でも作るように簡単に言う秋子、この場合、秋子ちゃんがお腹一杯にしてくれるのかも知れない。
「うん」
「何言ってるのっ、お母さん」
「名雪、真琴が帰って来られたのは偶然じゃないのよ、祐一さんに「愛された」者は、命を吹き込まれたように蘇る事ができるの、不治の病が治った香里さんと栞さんみたいに」
 平然と話す秋子だったが、その意味は鈍感な名雪の頭にも届き始めた。
「愛された? 真琴も、栞ちゃんも? 香里までっ!」
「あなたも祐一さんに「元気」を吹き込んで貰ったのかも知れないわね、朝早く起きられるようになったのも、そのせいかしら?」
「い、いやああぁっ!!」
 名雪は朝食も食べず、今日もダッシュで学校に走って行った。公園のブランコでドナドナ永遠ループかも知れない。
「名雪っ!名雪〜〜〜!」
 祐一とて、パンツ一丁で外まで追いかける根性は無く、真琴もそれを許さなかった。
「何ようっ、せっかくあたしが帰って来たのにっ」
「にゃぁ〜〜」
「祐一さん、名雪は大丈夫ですから、ゆっくり二人で話し合って下さい」
 そう言いながらティッシュの残量を確認して、箱ごと置いて行く秋子、きっと主婦のエプロンにも「四次元」が存在するに違いない。
 バタン、トントントントン
 扉を閉め、一階に降りていく秋子、だがそれは足音を小さくしただけで、階段の途中で目を爛々と光らせて、中の様子を伺っているとは祐一や真琴が知る由も無かった。
「あっ?(ポッ)」
 秋子が気を利かせて出て行ったと思って、顔を赤らめる真琴。
「バカ、何考えてんだっ」
「もう、祐一っていっつもそうねっ、女心なんて全然…」
 だが祐一の表情は怒った顔ではなく、涙をこらえるような真剣な表情をしていた。
「な、なにようっ」
「どうしてすぐ帰って来なかったんだ」
「だってあれ、風で飛んで行って、すごく悲しかったのは覚えてたから、どうしても探したかったの」
「二人で探したらもっと早く見付かっただろ、それに、俺が持って帰ってたらどうするつもりだった」
「もしかして、探してくれたの?」
 真琴が残して行ったのは、漫画の山と毛布だけだったので、祐一もベールを探していた。
「もしかしないでもだ、それにしてもよく見付けたな、ずっと出て来なかったのに」
「だって、祐一の匂いがしたから」
「こいつっ」
「あう〜〜〜」 
 やっと再会し、涙を流して抱き合う二人。
「でも、あたし、帰ってきたよ、今度は忘れなかったよ」
「心配かけやがってっ」
 やがて二人は引き合う磁石のように…

 ガチャ
「真琴、着替え持って来たから、何か着なさい」
「「ひぃいいいっ!」」
 現場を押さえられそうになり、慌てて離れる
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