90栞も香里も美汐チャンも悪夢
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雪。ついでに目覚ましの内容を生声で聞かせる。
きっと「お注射」で元気が出たのか、美坂姉妹が来る前に早起きして祐一を起こしに来てしまった。
「起きないと、また飛び乗っちゃうよ?」
「うう〜〜ん」
「えいっ」
バフッ!
「あう〜〜〜」
「えっ?」
飛び乗った布団の中から、祐一以外の声が聞こえたので、驚いて起き上がる名雪。
「ゆ、祐一?」
頭まで被っていた布団をずらし、顔を出させる名雪だったが、そこには…
「あう〜〜〜」
裸の真琴が、祐一と抱き合って寝ていた。
「きゃっ!」
悲鳴を上げてニ、三歩後ずさる名雪。 それはもちろん真琴が帰って来た驚きでは無く、自分と愛し合ったはずの相手が、また別の女と寝ていたからである。
「にゃ〜〜〜」
「いやぁああっ!」
名雪の瞳からは、ぴろに近付いて猫アレルギーを起こしただけでは無く、本物の涙が溢れ出した。
「何だ? 朝っぱらから… うおっ、真琴っ」
目覚めた時には裸の真琴と、クローゼットを背に泣いている名雪の姿があった。
「信じてた… 信じてたのに、ひどいよっ」
「待てっ、おまえは今、猛烈に勘違いしている、俺の話を聞けっ」
「あう〜〜〜(は〜と)」
「にゃ〜〜〜」
勘違いを煽るように、まだ寝ぼけている真琴が祐一に抱き付く。
「うそつき」
現場を押さえられた今、これは修羅場以外の何物でも無かった。
トン、トン、トン、トン
一階からは、騒ぎを聞いた秋子も、階段を上って来た。
「お、お母さん、祐一とあの子がっ」
また名前を呼ばず、「あの子」に格下げされた真琴だったが、やはり秋子のセリフと言えば。
「了承」
一言だけ言い残すと、また朝の食卓に戻ろうとする。
「待ってよ、お母さんっ! わたしと祐一の事は話したでしょ、それなのに祐一ったらっ」
何でも包み隠さず話し合う水瀬家では、祐一が落ち込んでいた時の出来事も、秋子が「少しだけ」怪我をして入院した時、祐一がどれだけ力になってくれたか全て話すと、秋子は二人を祝福してくれたはずだった。
「お帰りなさい真琴」
「え? …ただいま(ぽっ)」
寝起きの目をこすりながら、秋子にだけは挨拶する真琴。
「そうじゃなくてっ」
裸の真琴を見た秋子は、自分のカーディガンを羽織らせ、ショーツだけは履いているのを確認する。
「あっ、あり…」
真琴は「ありがとう」と言いたかったらしいが、まだまだそこまで素直にはなれなかった。
「あれからどうしてたの?」
「丘の上で(ポッ)祐一と結婚したの。 指輪はなかったけど、ヴェールだけかぶって、これで」
チリンッ
手首の鈴を嬉しそうに動かし、「エンゲージリング」の代わりを見せる。
「そう、良かったわね、その後は?」
もう今の真琴の言葉を聞いた名雪は
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