90栞も香里も美汐チャンも悪夢
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(なっ、何ぃいいいいいいい!!)))
きっと前歯にクラゲの「スタンド」を出して吸わせたのか、四次元の彼方に葬り去ったのか、謎ジャムを口にしても平然としている栞。
「これでしたら、紅茶に入れてもおいしいかも知れませんね」
(まさか、あのジャムを食べて笑える人間が、秋子さん以外にいるなんて)
「ええ、試してみますか?」
ジャムの味を共有できる人間に出会い、ちょっぴりご機嫌な秋子ちゃん。
(そんな、この子には味覚って物が無いの?)
無かった。
(ふっ、あの薬を飲み続けた私にとって、この程度の味、何とも無いんですよ)
栞にとって、ジャムの破壊力など大した物では無かった。
今まで飲んで来た薬のように、口に入れたとたん脳天まで突き抜ける程まずい物や、間違って喉の奥で糖衣が解ければ、七転八倒の苦しみを味わう物に比べれば、謎ジャムは薬に混ぜるシロップのように、口当たりが良く円やかな味でしかなかった。
通学路
「お姉ちゃん、離れてっ」
「嫌よ、あんたこそ一人で行きなさい」
「…………」
暖かい日差しの中、姉と二人で邪魔し合いながら、祐一と腕を組んで通学路を歩いて行く。たったそれだけの事が、今まで見たどんなクズドラマより怒りを誘った。
『どうしたのアレ?』
『奇跡の恋よもう一度、のはずが、お姉さんの方が本気になったみたいね、修羅場よ』
『うわ〜、朝から凄いもん見ちゃった』
次第に下がっていく二人の評価、所詮、世間の噂など、この程度の物だった。
教室
「おはようございます〜、祐一さん、今日はどうしたんですか〜?」
教室に入ると今朝は寝ている名雪では無く、祐一の腕にしがみついているオプションを見て、変な汗を流す佐祐理。
「あ? ああ、これは」
佐祐理の言葉に、いつか見た妄想に既視感を感じる祐一。
「おはようございます倉田さん」
しかし、予想に反して佐祐理に丁寧に挨拶する香里。
「はい、おはようございます〜」
「先日は姉がご迷惑をおかけしました、
反対の腕にしがみ付いて、姉の妨害にも屈せず教室まで着いて来た栞だが、こちらも世間体を気にしているのか、普通の挨拶をした。
「…祐一っ」
まだお姉ちゃんだと判明していない舞ちゃんは、何か苦々しげな表情をしていた。
二人の中に潜む魔物の気配に気づいているのかも知れない。
舞が真剣を抜いて、真剣で私に故意しなさい?する前に、神移を発動して100メートル7秒の俊足で逃げた。
そんな数日が続いたが、二人の襲来と朝から泣き出す名雪に挟まれ、胃に穴が開くのを恐れた祐一は、早朝に目覚ましを合わせていた。
コン、コン!
「朝〜、朝だよ〜、朝ご飯食べて学校行くよ〜」
ノックだけすると、相手の確認も取らず、まるで自分の部屋のように入る名
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