ボツネタ「サンザンアイズ」
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「タマモ、俺と結婚してくれ」
差し出された指輪を見て、顔を赤らめる白面金毛九尾の狐。
「うん… いいけど」
「けど?」
何か付加条件が付きそうで、不安を隠せない横島。
「ねえ、傾国の美女って知ってる?」
「何か聞いた事あるな」
「じゃあ、炮烙の刑とか、薹盆の刑は?」
「何だ? それ」
まだ二十歳やそこらで、成績も悪かった生徒が、歴史や古典に興味を持つはずも無かった。
「あたし、悪い女よ、それでもいいの?」
「決まってるじゃないか、お前じゃないとだめなんだよ」
何か意味不明の事を聞かれたが、タマモの表情は、その辺りさえクリアすれば、オッケーらしかった。
「後悔しても知らないからね……」
「させてみろよ」
二人は寄り添い、傾国の美女の左手の薬指に、契約の指輪がはめられた。
カチッ、ウィイイイイイイン
「は?」
タマモの中から変な音がして、?マークと汗を浮かべる横島。
「何だか記憶が戻って来ちゃった。 あたしね、本当は「じょか」って言う女神様に作られたパオペイだったの。 それで昔ね、女神様を側室に欲しいって言った、殷の紂王をめちゃくちゃにして、殷王朝を滅亡させるよう命令されたの」
「はあっ?」
さらに意味不明の言葉を聞いて、嫌な汗を流す。
「その後は転生しても、能力とプログラムは消えなかったの… 今のでまた発動しちゃった。 あっ、九首の雉と、玉石の琵琶の妹も探さなくちゃ? その子達も可愛いわよ、二人共、ヨコシマの好きにしていいからね」
「え? ええっ?」
「あたし達がヨコシマをこの国の王様にしてあげる、そこでハーレムを作るから、ヨコシマは色んな女とエッチな事するのよ、酒池肉林って知ってるでしょ?」
「そんなっ、い、いいよお前だけで」
突然の申し出に驚くが、意味も分からず喜んでしまう横島。
「でもね、この国も最後には滅ぶの… 一緒に滅びましょうヨコシマ、うふっ、うふふふふふっ、あははははははははっ!」
「うっ、うわ〜〜〜〜っ!」
タマモのすっかりイっちゃった目を見て、とんでもない地雷女を踏んだのだとようやく気付く。
「だめよっ、もう逃がさない、ヨコシマはあたしと一緒に滅びるの、もう約束したんだから」
「いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
横島の叫び声が上がった時、タマモはその魂を取り込んだ。 きっと九尾の狐も一生に一度、人の魂を喰らい、自らの従者として使役するに違いない… いや、もうそうに決まった。
数年後…
「横島忠夫君を、内閣総理大臣に任命します」
パチパチパチパチッ
議事堂で万雷の拍手に迎えられ、演壇に上がる横島、その傍らには、いつも3人の美女が寄り添っていたと言われる……
ボツネタ、「サンザンアイズ」より。
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