つのつのにほん
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は俺にやらせて下さいっ、お願いしますっ!」
「ええ… 是非」
その願い出に、血走って座った目で答える小竜姫。
「どうしましょう? やり方を変えますか?」
「いえ、そのまま続けて下さい、少し動くスピードを上げれば耐えられると思います」
そう言うと、手近にあったタオルを咥え、振動に備えて歯を食いしばる。
「そ、そうですか? じゃあ、続けますよ。 我慢できなかったら言って下さい」
「ふぁい(はい)」
シャーーーッ、シューーーーッ、シャーーーッ、シューーーーッ
今度は霊ノコギリのスピードを速め、少しでも振動が少なくなるよう努力する横島。
「どうですか? 大丈夫ですかっ?」
「ふ〜〜〜〜っ! は〜〜〜〜〜〜っ! ふ〜〜〜〜っ! は〜〜〜〜〜〜っ!」
息を荒げながらも、頷く小竜姫を見て作業を続けようとするが、その憤怒の表情が怖すぎて、後ろに回って角を持ち変える。 右利きの横島の場合、最初からこの方がノコギリの角度も安定していたのである。
シャーーーッ、コーーーーッ、シャーーーッ、コーーーーッ
「ふううっ! ほふうううっ!」
ガクガクと体を揺らし、椅子の肘掛を握り潰しながら、奇妙な感覚に耐える小竜姫。
シャーーーッ、コーーーーッ、キーーーーーッ
「うむうううううっ!!」
バキバキバキッ!
ついに握り潰され、圧壊した肘掛。 厚みが変わって中心に近付いた所で共振し始めたらしい。
「あっ! すいませんっ! 大丈夫ですか?」
「ふーーーっ! ふーーーっ! ふーーーっ!(コクリ)」
「じゃあ、端から切りなおしますね」
木や金属を切る時、熟練者以外は端から切って行き、切りにくくなると、別の端に移ったり、また中心に戻って切って行く。
シャーーーッ、コーーーーッ、シャーーーッ、コーーーーッ、シャーーーーーッ、コーーーーッ…………
そして大抵の場合、両端の接続は上手く行かない(笑)。
キュィーーーーーッ、クキィーーーーーーッ
「いやあああああああああああっ!! もうだめえええええええっ!!」
仏の顔も三度まで、神にも耐えられる感触に限度があった。 この場合、最後の「クキーー」は、黒板を爪で引っ掻いたような音と、その爪の感触が脳髄にまで達したような、常人には到底耐えられない物だったらしい。
ドタドタドタドタドタッ!
その大音響の警報で、警備の魔物達がガチャガチャと近づいてくる音が聞こえ、横島は「面倒な事になった」と思い始めた。(ウィ*ードリー)
「何してるでちゅかっ! ポチーーーーッ!!」
「横島さんっ! 小竜姫様に何したんですかっ」
「先生っ! 酷いでござるっ!」
「散髪?」
「つのだーーーっ」
「途中まで切れてるのねーー」
正気を取り戻すまでに全員に見られ、半分白目を
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