GS美神(ガソリンスタンド美神)
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は、曲がり切れなかったミソッカスが谷底に落ちたような音を聞いて震え上がって止まった。
「アニキも見ただろう? せめて警察でも呼んでやろうぜ、走りの仲間だ、亡骸だけでも回収してやろうぜ」
最後のインパクトの場所を探し、ライトを当てて谷底を覗き込むマルチとセリオ。しかしガードレールには大きな凹みは無く、替わりに上と下に凹みを入れてプレスし、強度を上げている溝の塗装が剥がれて、中の亜鉛メッキが出ているのを見た。
「なんだ、コリャ?」
「そう、落ちてない、俺達の先行車はまだ走ってる、少なくとも俺のナビにはそう表示されている」
「そんなまさか? 一体どうやって?」
兄の視線は、谷底からガードレールに移った。
「ガードレールキックターン、どこかのバイク乗りが始めて、子供のクリーミーマミ、森沢優が完成させた技だ」
「蹴って曲がった? そんなスピードじゃ無かったぞ?」
「ああ、まず最初はアウト側の脚を溝に乗せて曲がる、その切れ目に落ちる前にジャンプして、イン側の脚を次の板に乗せる、その次も跳んで次の板に、ストレートに戻ったら、地面に飛ぶんだ」
兄は既にイッちゃった目をしながら解説し、ミソッカスが飛んだ軌跡を追って、ガードレールと路面の傷をセリオの指で指差した。
「地元スペシャル……」
普通なら「天狗じゃ! 天狗の仕業じゃあ〜〜っ!」と叫び、腰を抜かす所で、ミソッカスを操っている何者かがやった、有り得ない運動性能を魅せられた兄は狂ったように笑い出した。
「ふっ、はははっ、はっはっはっはっ!」
「あ、あり得ねぇ、おい、どうしたんだよ、アニキ?」
「これだから公道は面白いっ! ははははははっ!」
夜明け間近の峠で、兄の狂った笑い声が響いた。
次回予告
「俺はおかしくなっったのか? 何で12馬力も有るチューンしたマルチFDが、5馬力も無いノーマルのミソッカスに追いつめられてるんだ? チクショウ、エアクリーナ詰まってんのかよ?」
暗闇の中を、ネコミミリトラクタブルライトが左右に揺れながら、幽霊か悪鬼のように迫る。
「ストレートで追いつくわけがねえ、だったらコーナーで詰められてるのかよ、走り屋に取っちゃあ最大の恥だぜ」
「インのそのまたインのラインは、空中に有る」
「1万1千までキッチリ回せ」
ド〜ン、ミスイッツ。
続かない…
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