ああっ、おキヌちゃん様2
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れた人々への思慕は募るばかりだった。
(横島さん、お腹空かせて無いかな? 週に一回は余分に材料買って差し入れに行かないと、ずっとラーメンかパンの耳だったし…… あっ、でもあれって、美神さんのお金で買って横島さんに上げてたから、泥棒になるんじゃあ…? えっと…)
小竜姫から貰った、「試験に出る神族の法律」を持ち出し、調べ始めるおキヌ。
(でも、貧しい人のために喜捨するのは、天に財産を積み上げる行為で、美神さんのためにもなる訳で… う〜ん)
分かりやすく解説してある書物には、そこまで細かい事例は書いていなかったが、この場合、おキヌの行為は正しかった。
美神も、おキヌが買って来た食材や釣銭までは詮索せず、毎日カロリー計算までした暖かい食事を用意し、洗濯や身の回りの世話までしてくれたおキヌには、メイドとしての給料を払っても良い「かな?」と思っていた。
(美神さん、一人でもちゃんとやってるかな? シロちゃんだってまだ子供だし、タマモちゃんだって、自分の事はできても、人の事は絶対しないタイプだし… また必要なお札を忘れて怒られてないかな? そしたらまた横島さんから文珠を無理矢理……)
そこまで考えて、おキヌは笛を取った。 未練を断ち切るように、そしてその思いが美神達に届くように笛を吹き始めた。
ピリリリッ、ピィーーーーーーッ!
地脈に繋がる道で、救われない霊達の気配を感じながら、吹き続けるおキヌ。 交通事故や事件で、自分が死んだ事も知らないで、いつまでもその場所に縛り付けられている霊。 家族、物、お金、様々な物に未練を残し、成仏出来ない霊に向けて、笛の音が届くよう懸命に吹いた。
「おお、泣いておられる…」
「邪魔するんじゃないよ恐山、姉さんは迷ってる霊の悲しみを感じて同調してるんだ」
一度倒されて一目置いていたのと、実はおキヌの方が神としても格上だったので、石神は「あねさん」と呼ぶようになっていた。
(姉さん、あんたには、あたしらには無い力がある。 幽霊のまま神を倒せる女なんて、あんただけだ)
霊達と同じように、笛の音を聞いて涙する石神。 やがておキヌはトランス状態に入って、地脈と一体になった。
(地脈に根が… 死津喪比女ですね…、貴方もあれ程の力を持たなければ、きっと…)
片方は相手を封じ、もう一方はその呪縛から逃れようともがいていたが、今にして思えば、まるでおキヌが神になるまで試練を与え、包み込んでいた繭のようにも思えた。
(今度芽吹く時は、人のためになるよう緑を繁らせて、きれいな花を咲かせて下さい…)
それから時間にして2時間近く吹き続け、おキヌは眠るように崩れ落ちた。
「おキヌ様っ!」
「姉さんっ!」
「大丈夫なのね〜、でも毎日これじゃあ、霊体が持たないから〜、1時間ぐらいで休ませて、体が慣れて来
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