ボツネタ「ああっ、おキヌちゃん様」より
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れはいい機会だと思っています」
「そう… 結局、おキヌちゃんはどうしたいの?」
「わ、私はお受けしたいと思ってます。 でも… 美神さんの仕事の邪魔になりませんか?」
「そんなの気にする必要ないのよっ、それより、貴方の女としての幸せはどうなるの? 一生独身? 織姫みたいに交代が来るまで年取って行くの?」
「その心配もありません、私達のように年は取らなくなります。 それに巫女や乙女でいる必要も無いのですから結婚も可能です。 但し、同じ時を過ごせる長命な神である事が望ましいでしょう」
また浦島太郎のように、時を超えて全ての知人を失うおキヌ。 幽霊の頃も明るく振舞っていたが、それは誰の目からも芝居のように見えていた。 自分と同じように…
「そんな辛い人生、私ならお断りだわ。 おキヌちゃんはそれでもやって行けるの?」
「すみませんっ、すみませんっ……」
母親にまで騙され、貧しい教会で暮らした日々を経てからは、現金と自分だけが頼りになった女と、自分の命すら犠牲にして来た、何もかも正反対の娘は妙に馬が合った。 根底に流れる何かが同じだったかのように。
「わかったから泣かないで。 貴方の人生なんだから、周りも誰も気にしないで、好きなようにして、好きなように生きればいいのよっ」
「グスッ、はい…」
自分の善行と徳によって、神にまでなれると言うのに、まるで美神を裏切って、悪い事でもしたようにいつまでも泣いて謝っていたおキヌ。 それは二人の神族に連れられ、転移して消えるまで続いた。
数週間後…
「美神さ〜〜ん!」
「どうしたの? おキヌちゃん… いえ、もう神様だったわね。 本当はずっと年上だし、おキヌ様の方がいい?」
「やめて下さいっ、今まで通りでお願いします」
「そう、でも御神体がこんな所に来てもいいの?」
仮設の神社を抜け出して、美神事務所まで来たおキヌ。 警護の気配は感じたが、人工幽霊一号も、おキヌの入室はフリーパスだった。
「はいっ、笛を吹くのは夜だけ、丑三つ時の方が効果があるそうです。 だから昼間は自由にしても… 美神さんのお手伝いをしても良いそうです」
「ほんとなのっ?」
「はいっ、またここに来ても… 一緒にお仕事してもいいですか?」
「あたりまえでしょ、ここはおキヌちゃんの家なんだから」
「はい… グスッ」
「もうっ、神様が泣いてちゃだめじゃない」
「はいっ」
「やった、良かったね、おキヌちゃんっ!」
すかさずセクハラダッシュ、と言うか、この場合は喜んで無意識に抱き付こうとした横島だったが…
「どすこ〜〜〜いっ!!」
ドカーーン!
強烈な張り手で吹き飛ばされ、エジプトの壁画のように、横向きのまま壁に張り着いた。
「あんたはっ?」
「はっ、恐山でごわす、この度、おキヌ様のふんどし担ぎ…
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