アルジャーノン
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特異な脳波や能力、強力な身体能力を発揮する事は許されない。
すでに神か魔の領域に踏み込んでいる俺の思考だが、現状でこの知識を手に入れるのは不可能なはずである。
ラプラスの鬼と呼ばれる、全ての物理現象を計算して予測する仮想の怪物があるが、現在の処理能力はそこまで到達していない。
人類の学問の歴史をトレースして、自ら解を求め証明して行く事も出来たが、この短時間ではヒトゲノムや、ましてや魔族であるルシオラのゲノムや酵素の活動まで探求できるはずがない。
そう、俺は今、大いなる宇宙の意識、アカシックレコードと呼ばれる宇宙の記憶に接続されている。 すでに時間も空間も意味を成さない。 俺は宇宙でもあり、宇宙が俺なのだから。
ルシオラ個人の記憶データが消失したのも損害と思われていたが、現時点ではそれすら閲覧可能となって補完され、俺の中のルシオラは完全になった。 やがて、現状を悟られる事無く開放された俺は、美神令子事務所に戻った。
「横島クン、大変だったわね…」
「私にできる事があったら、何でも言って下さいね……」
既に横島として振舞い、会話を交わす程度の活動は、俺とルシオラの思考を阻害するような負荷ではなくなっていた。
「じゃあ、その体で慰めて下さーーいっ!」
「きゃああっ、こんな所でだめですー」
「こいつっ、全然こたえてないわねっ」
「チチ、シリ、フトモモー!」
歴史には、すでに俺がそうするように記入されている。 ここで俺が演じるべきは、道化役なのである。
しかし現在の肉体と、ブドウ糖の消費量が増えた脳を維持し、ある程度快適な生活をするには、今の時給では障害を発生する。 ラーメンなる炭水化物だけでは、体は維持できないのだ。 緊急に上質なタンパク質とブドウ糖を入手する手段を講じなければならない。
「隊長〜〜 このままじゃ食べて行けないんです〜〜 年金とか恩給って無いんですか〜〜?」
「仕方ないわね、私の所へいらっしゃい」
「何ヘッドハンティングしてるのっ? ママッ」
「先生っ!」
「横島さん… ここにいてくれますよね」
「嫌ならちゃんと給料を渡す事ね、彼は今でも私達の監視対象なんだから」
思わせぶりに笑っている隊長。 まるで何かを知っているかのような態度だが、その程度の思考は、すでに児戯に等しい。 彼女の行動も記憶も全て閲覧可能で、分岐予測も簡単なのだから。
ではしばし、この世界の探索を楽しもう。 この者達がいなくなれば、ドクターカオスのようにパートナーを製作して、外部に存在させておくのも良いだろう。
様々な意味でバックアップは必要である。 俺自身を複数存在させて、この者達と結合し、自分の複製や亜種を製造するのもまた楽しからずや。
昨日のドラマを見たので、また電波です。
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