第四十二話 妹達の誤解その三
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「実家でも阿波野君と」
「奇跡ですね」
「嫌な奇跡よ」
こう言うばかりでした。
「全く、それはそうとご親戚に連絡した?」
「先輩のご実家にいることをですね」
「ええ、したの?」
「はい、実はここに来るまでに携帯で」
「それならいいけれどね」
「そういうことは大丈夫ですよ」
しっかりと連絡をしているというのです、そういえばこの子は何かと細かいところはしっかりしている気がします。
「安心して下さい」
「ええ、とにかく上がってね」
「はい、宜しくお願いしますね」
「お茶とお菓子も出すから」
「色々申し訳ないです」
「会ったのは不思議だけれど」
そう思えて仕方ないです、けれどその阿波野君にあらためて言いました。
「とにかくあがってね」
「失礼します」
「別に失礼じゃないから」
教会に人が来てくれることはこのことだけでとても有り難いです、ですから私は失礼とは思いません。ですが。
妙にです、今の阿波野君が謙虚に思えました、それは上の妹も同じでこう言いました。
「あっ、紳士ですね」
「そうかな」
「はい、先輩女の人にもてますよ」
「いやいや、もてることは興味がないから」
「お一人にだけですね」
「うん、もてたいね」
「それはいいことですね」
上の妹は私の方を見てにこにことしてきました。
「そうよね」
「まあ浮気性よりはずっといいわね」
私は上の妹のお顔が妙に気になりましたがこう返しました。
「とにかくちょっと上がってもらって」
「そしてよね」
「お話するから」
「何のお話するの?」
「特に決まってないわ」
実は今まで考えていませんでした、言われるまで。
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