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真田十勇士
巻ノ百八 切支丹禁制その六

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「国もですな」
「乗っ取られるのではな」
「到底認められず」
「禁じることにしたのじゃ、わしも」
「だからこそ切支丹は」
「誰であろうと信じることを許さず」
 そしてというのだ。
「一人だりとも本朝に入れぬ」
「では今本朝にいる者達は」
「全員追い出し信徒達も信仰を捨てさせる」
「若し捨てねば」
「止むを得ぬ」
 家康は厳しい声で言った。
「その時はな、しかしな」
「あの者達は信仰を捨てることすら許さずですな」
「殺すからのう」
「それと比べれば」
[遥かにましと思うが」
「ですな、信仰を捨てさせますから」
「無暗な殺生はならん」 
 家康もそれをするつもりは毛頭なかった、彼にそうした考えはないのだ。
「それでは伴天連共と同じじゃ」
「ですな、他の教えの者達を一人残らず殺す」
「それをしてはな」
 ならぬというのだ。
「断じてじゃ」
「あの者達と同じですし」
「だからじゃ」
「追い出し信仰は捨てさせますか」
「無暗な殺生をせずな」
「慎重にですな」
「そもそも本朝で妖術使いと疑って殺した者がおるか」
 魔女狩りのこともだ、服部に問うた。
「これまで」
「いえ、おりませぬ」
「そうじゃな、その妖術が人の役に立つならよし」
「左様ですな」
「医術の類がそう言われてるだけやも知れぬ」
 何も知らぬ者達からだ。
「よしんば害になる妖術ならな」
「その場合にこそですな」
「よく調べ只の噂ならよし」
「まことに害があるかいかさまならば」
「その時に罰するまで、疑ったり吹き込んで来る者の言葉なぞじゃ」
 それこそというのだ。
「信じていてはな」
「南蛮の様に恐ろしいことになる」
「だからじゃ」
「そうしたこともしませぬし」
「させぬ」
「その為にもですな」
「切支丹は入れぬ」
 断じてというのだ。
「そしてじゃ」
「大久保殿を」
「よく調べよ、お主達でな」
「わかりました」
「お主達が動く間はな」
 服部、そして十二神将達がというのだ。
「その間はな」
「甲賀者達で、ですか」
「天下を探らせる」
「わかりました、しかし」
「用心はじゃな」
「九度山です」
 服部はここでも真田家を警戒して家康に話した。
「真田殿も確かに脅威ですが」
「子もじゃな」
「十勇士も」
「天下では父親がよく知られておる」
 昌幸がというのだ。
「しかしわしも見ておる」
「はい、あの御仁も」
「恐ろしい傑物じゃ」
「知勇兼備の」
「まさにな」
「それがしが思いますに」
「幕府にじゃな」
「召し抱えられば」
 そうしてというのだ。
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