巻ノ百八 切支丹禁制その四
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「比叡山なぞ問題にならぬまでに腐っておる様じゃ」
「何と、あの比叡山よりもですか」
「遥かにですか」
「その妖術師狩りや異教や宗派の違う者達を殺させその富を奪い民からも好きなだけ奪い自分達は贅を尽くしておるという」
家康はこのことも知っていて言うのだった。
「そうした有様とのことじゃ」
「何と、それも酷いですな」
「人を唆して殺して富を奪いですか」
「その富で贅を尽くす」
「その様な外道共ですか」
「まさに外道じゃ」
家康が見てもだった。
「あの者達はな」
「左様ですな」
「いや、そこまで酷いとは」
「やはり耶蘇教は国に入れられませぬな」
「どうしても」
「ここまで聞いて調べてわしは決めた」
家康にしてもというのだ。
「そこまでしてな、しかしな」
「調べれば調べる程ですか」
「耶蘇教の恐ろしさがわかったのですか」
「あの教えの坊主達も」
「教え自体は構わん」
それについては家康はどうでもよかった。
「問題は他のことじゃ」
「そうしたことですな」
「本朝には入れられぬ」
「そうしたものだからですな」
「わしは決めた、切支丹は絶対の法度じゃ」
それにするというのだ。
「誰も信じてはならぬわ」
「それこそですな」
「本朝を守る為に」
「そうしていきますか」
「必ずな、ではその様にしていく」
切支丹を禁じるとだ、家康はあらためて言った。
そのうえでだ、彼はこのことを天下に知らせたがここで本多正純が彼に剣呑な顔でこう言ってきた。
「大御所様、切支丹のことで」
「何かあったか」
「はい、どうもです」
言葉を選びながら言うのだった。
「大久保殿がです」
「あ奴は死んだが」
「いえ、生きておられた頃にです」
「まさかと思うが」
「はい、つながりがあった様で」
「まさか、いや」
ここで家康はすぐに思いなおして言った。
「絶対はな」
「ありませぬな」
「何でもな、それでか」
「あの者達と通じ」
「国崩しを企んでおったか」
「その様です」
「わかった」
家康は正純に頷いて応えた。
「ではな」
「調べて頂きますか」
「そうしよう」
このことを約してだ、そしてだった。
一旦正純を下がらせてだ、すぐに彼を呼んだ。
「半蔵、おるか」
「はい」
家康の前に黒い忍び装束、袖の部分がやけに広く上着の丈も膝まで長いその独特の忍び装束の彼が畏まって出て来た。
その彼にだ、家康は言った。
「少し頼むが」
「大久保殿をですか」
「うむ、言われてみればどうもな」
「怪しいところがおありですな」
「だからな」
正純が言ったこともあるがというのだ。
「あの者達を調べてくれ」
「それでは」
「すぐにな、それと十二神将じゃが」
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