プロローグ
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三大タブーに触れる。
それを知らずに、女日照りで色々と溜まっていた船乗り達が蛮行に及んだ結果…ボコボコにされて三十メートルも上の甲鈑から蹴落とされるに終わった。
サメの一尾でもいたらけしかけてやるところだったから、あれで軽く済んだ方である。
彼女の故郷である日本に帰ろうとしたのだが、彼女が元いた場所では飛行機を飛ばすには危険な地域だった。
だから船で安全圏にまで離れて空港から飛行機に乗る手はずになっていた。
それがたまたま貨物船であって、たまたまグアムだっただけの話だ。
「飛行機に乗る時間は…明日か。 グアムは旅行ならともかく、遠回りで通りすがる場所じゃないわよね」
グアムは旅行地としては有名であり、リゾートとしては行ってみたい所の一つであろう。
だがしかし、睦月にはそんなゆとりがあるはずもない。
人生は既に壊れている。 一つの目的のために、旅行など一縷の興味も抱いていなかった。
「…海辺か。 皆楽しそうね…人がいなければ、野宿も出来たんだけど」
金は有限であるため睦月の持つお財布様は決して寛容ではない。
海辺で野宿した経験は多いが、流石にこんなリゾート地で野宿とかしたら変人でしかない。
何より周りの視線が痛い。 睦月はそこまで無神経ではない。
「ん? やけに日本人が…というか若い子がやけに多いわね?」
その海辺には日本人らしきアジア系の顔付きの男女がかなりいた。
数にして200人弱…十代半ばの青年少女達がこんなに集まっているのは相当だ。
そこで睦月は修学旅行なのだと思い至った。
よく見てみれば、青年の一人が学生服を着て佇んでいる。
しかし、それはそれでおかしいものだ。
周りの同年代は水着ばかりだというのに、一人学生服だけってのもかなり浮いている。 しかも金髪の長身だ。
「…変なの」
蒼髪青目である睦月が言えた事ではないが、赤の他人であるから別にどうだってよかった。
「…ん」
学生らしき少年達の中から、ビデオカメラを構えた子がいた。 この容姿だから奇異な目を引くのだから仕方ないのだろう、だから寝込みを襲われるのだ。
ここにいてもカメラ目線に晒されるのはあまり好ましくないので、睦月はその場を立ち去っていった。
二度と会う事はないだろう、と彼女は大して気にも留めない。
だが…その思惑は大きく外れ、天信睦月は数奇な巡り合わせに巻き込まれる事になる。
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