第51話 部長の行方
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
...あんな奴」
豹変した態度はさっきまでと打って変わって言葉遣いが荒い。これがこの人の本性か、或いはにこに向けられた憤りなのか。
しかし、あまり時間が無いのでこの話は流しておかなければならない。まずはにこの捜索が最優先で、俺は頭を切り替える。
「まぁ、貴女と先輩の関係に茶々入れるほどお節介好きじゃないですから。その件については流しておきます。不快な発言すいませんでした。では───」
「ちょっと待って」
一礼し、教室から離れようとした時に女子生徒に止められる。まだ用があるのか、と思いながら振り向く先には
「もし、今後あの子と仲良くするというのなら......聞いてもらいたい話があるの」
彼女の口から放たれる言葉の一つ一つ。
一度は耳にしたことある事、それはにこは1年生の時に"スクールアイドル研究部"を設立し、スクールアイドルを目指して活動していた事。当時は、にこを含めて計6人。その誰もがにことの意見の相違で辞めていった。
彼女だけが残って"スクールアイドル研究部"を守り続けてきた。
そしてはじめて聞かされる事。
「実は────」
俺が、俺達が知っている"矢澤にこ"という女の子は───
「───っ!?て、てめぇ......どういう神経してんだよ!!」
俺達が思っていたよりも強く、強く......脆い女の子だったということ。
その事実があまりにも残酷で、残忍で、それを矢澤にこという人はたった一人で抱えて背負って受け入れてきた。
目の前の女子生徒はどうしてそんな笑みを浮かべて語るのか、俺には理解出来なかった。いいや、きっと100人中98人が笑みを浮かべながらのこの内容を語る彼女の心境を、理解出来ないだろう。
「どうして!どうしてアンタはそうへらへらと笑っていられるんだよ!」
「だってアイツが悪いのよ!アイツが、人の趣味も夢もバカにしたから!」
「お前だってにこに対して同じようなことしてるじゃねぇか!自分の事棚に上げて物語ってんじゃねぇ!」
「っ!」
だから俺は許せなかった。
確かににこもにこで悪い。だけどそれを利用したコイツの非道さには人情を感じられなかった。
「お前......絶対許さねぇからな。たとえにこが許したとしても、あいつの負った傷はお前以上に深いぞ!」
それだけ投げつけて俺は教室のドアを強くしめる。
その勢いに任せて俺は床を強く蹴り、構内を駆け巡る。
途中先生に止められても、誰かにぶつかっても、俺は彼女を探して足を止めな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ