第51話 部長の行方
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様子を確認し、続いてにこの教室へ。
「すいません!矢澤にこさんいらっしゃいますか?」
『先輩禁止令』が出ているとはいえ、第三者を前では敬語&さん付け。今となっては違和感でしかないけど、俺の声に反応したにこのクラスメートが数人寄ってくる。
「あの子なら部活じゃないの?確か君は......」
「噂の男子生徒Aです。矢澤先輩最初のミーティングにはいらしたんですけど、練習始まる直前になって音信不通になりまして......」
「そうなんだ。でも、私らも放課後になってから顔見てないし、そもそもあんまり仲良くないし」
不穏な事を言う女先輩は、どうでもいいといった投げやりな口調。
「あんまり仲良くない、と言いますと?喧嘩ですか?」
「喧嘩......そうねぇ、喧嘩といえば喧嘩だね」
喧嘩、か。
にこが喧嘩なんて珍しいとは思う。人格が真っ直ぐ故にみんなからいじられる。でもそれが愛情表現だと誰しもが思っているだろうし、にこも今のポジションを嫌だというような反応を示さない。
当然、にこ本人から聞いたわけじゃないから一方的な思い込みでしかない。でも、俺自身そういった面において敏感という自負があるから、本当ににこが嫌がっているのであればすぐにわかるし、みんなに話して当の昔にやめさせていただろう。
過去にμ's内で対立はあったけど、それはそれ。
「ん〜、矢澤先輩、喧嘩するような方には見えませんけど?」
───瞬間
1人の眉がピクリと動くのを俺は見逃さなかった。
それと同時に『コイツとにこ、なんかしでかしたな』と察した。
「そうかな?あれでも結構自分勝手で意固地な子なんだよ?」
「らしかったみたいですね。自分でもそう自覚してるみたいでしたし」
「へぇ〜じゃあ今もそうなのかな?」
「なんでそれを俺に聞くんですか?同じクラスメートなら自分で聞けるじゃないですか」
俺の質問に遂に眉を寄せて不穏な雰囲気を放つ。
隙あらば仲良くしてる俺との関係を引き裂こうだなんて、どこぞの少女漫画じゃあるまいし。
ただ、明らかなのはにことこの女子生徒に亀裂が走っているようなのは確かみたいで、別に探りを入れに来た訳じゃないが偶然という偶然に俺も慎重になる。
「矢澤先輩が誰かと喧嘩するなんて、絶対理由があるはずです。頭から決めつけて人を選ぶような方じゃない、今ここにいないのも貴女となにかあったからじゃないんですか?」
「なによそれ、ソレこそ私には関係ない事よ。人を悪者扱いしないで、このド変態」
「ド!?ま、まぁこの際俺の事はどうでもいいです。今は矢澤先輩の行方です。わかりませんか?」
「知るわけないでしょ...
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