第51話 部長の行方
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俺は殴られた箇所を擦りながら酸素を吹き返しつつ起き上がる。
「さってと。余ってるヤツは俺と───」
そこで俺はふと疑問に思う。
どうして今の今まで気づかなかったのか。それは多分海未が強烈だったからだろうなんて事はひとまず置いておき。
一人余るなんて事はおかしいのだ。
μ'sは女子9人男子1人(マネージャー)計10人で構成されている。男女比が奇数同士とはいえ足せば偶数になるのだから、ストレッチで二人一組で五組できるはずなのだ。
なのに、俺一人が余っているというのはおかしいのだ。
(誰か休んだ?)
部室で結果待ちしてる時は全員いたはずなのに......それともまだ、更衣室で更衣をしているのだろうか? 四ペアの顔を確認し、たっぷり10数秒要したあと、
「......あれ?貧乳は?」
直後、先程ダメージを負った下腹部にさっきよりも衝撃の強い蓮天紅我正拳突きを真正面からモロに食らい、そのまま後退する。
「おっ......ごぉっ、お、ま......何しや......」
「貴方がいけないんです!」
俺は一体何をしたというんだよ、という言葉は腹の激痛によって遮られ、代わりに漏れるのは嗚咽のみ。
かなりガチだった海未の拳は今まで以上の破壊力で、『お前そのまま格闘家になっちまえよ』なんて思考のみ余裕を持ちながら激痛を外へ逃がそうと必死にさする。
何に海未は反応したのかなんて言わずともわかる、貧乳という彼女(含む数人)にとってコンプレックスなる単語に、彼女は憤慨したのだろう。
しかし、俺にとしては別に海未を指し示すつもりで言った訳ではなく、むしろ今ここに姿がない黒髪ツインテールロリに向けて放った言葉だ。
なんて言い訳できずに言葉を言い換える。
「っつぅ〜。何も殴ることないだろう」
「私はまだまだ成長しますから!!覚えておきなさい!!」
「んなこと誰も聞いとらんて。そうじゃなくて部長だよ、ぶ・ちょ・う」
「部長?」
絵里に背中を押してもらってる希が反応する。
「そ、あんの黒髪ツインテールいないんだけどどこいったんだよ」
「そう言えばいないねぇ。休むって連絡もなかったし」
ルールとして欠席或いは遅刻する時は必ず連絡する事というものがあり、穂乃果と凛を除く全員は守ってきた。
特に部長の矢澤にこに至って欠席、遅刻はおろか一番に着替えて一番に練習準備万端の体制を整える子なのは皆が承知している。
「だからこそ、アイツらしくねぇんだよなぁ」
そう、らしくないのだ。
アイドル活動を最優先に動いてきた彼女だからこそ、今回の言動
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