第51話 部長の行方
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に引きこもりのようにぶるぶる身を震わせて、『まだですか、まだですか!?』と連呼している。
園田海未。
そんな光景に気づいた俺を含む9人は声をそろえてこう言う。
───まだやってたのかよ!?
と。
───第51話 部長の行方 ───
とりあえず部室の幽霊と化した園田海未を引き摺りまわして強引に着替えさせ、現実を見せることに成功した。実行者は高坂穂乃果と南ことり。
海未の両脇を抱えて更衣室に連行し、『誰か!!誰かーっ!!』なんて断末魔を無視して残り数人はいそいそと屋上へ向かう。
ストレッチをしている最中に連れてこられた海未はげっそりと細くなり、逆に穂乃果とことりは妙に肌の艶めきがあって、なにがあったのか聞きたいところではある。
が、聞いた瞬間彼女らをまともな目で見ることができないような気がするので、とりあえず探究心は屋上から投げ捨てた。
「よし来たな三人とも。早くストレッチして練習始めようか」
「......はい、頑張ります」
随分かすれた声で返事する彼女は、すでに撫子という雰囲気は微塵も感じられない。
最終予選まで通過できたのに、一体なんちゅう顔しているのだ。
まぁ、確かに最終予選突破した暁の海未のリアクションが、うっひゃー!やったー!!やりましたよみなさーんっ!!なんてものだった時の事を考えれば、今の変な海未の方がまだ納得がいく。
だけど変にずもーんとした反応も、らしくない。
緊張から解き放たれた海未は、自分のさっきの振る舞いに恥じているからこそ、俺は彼女に告げなければならない。
「いやぁ〜。しかし、あんな奇妙な叫び声をあげる海未も中々新鮮でかわぷぎょべぇらぁっっ!?」
言い終わるも前に園田家長女の右拳が下腹部あたりに直撃し、肺の中の空気が一気に押し出されるのを感じた。
「さて、不審者の掃除も済んだことですしそろそろ練習、始めましょうか」
そして何事もなかったかのように振る舞う。鬼だ、今俺の目の前に鬼がいる。そして周りのメンツも見て見ぬふりを決めたのか各々ペアを組んでストレッチを始める。
(ほんとまぁ......団結力高ぇよな)
それは良い意味でも、悪い意味でも、だが。
そして、ここでも団結力の高さは、1人のか弱い少年が1人の格闘を極めた(?)大和撫子(仮)にぶん殴られておきながら、敢えてスルーを決め込んでしまうという悪い意味でのだけど。
きっと助けた時の海未の冷たい視線に耐えられないのだろう。きっとそうだ、そうであって欲しいと切に願う。
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