88二人の悪夢
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佐祐理っ!!」
「佐祐理さんっ!」
一刀目で、いつかのように刀を飛ばされ、二の太刀で袈裟懸けに斬られ、血に染まって行く佐祐理。
魔物に支配されていた体は、天使の人形の幻術により、舞の外見に書き換えられ、舞自身の手によって切り倒されるよう仕組まれていた。
この対価によって、まずあゆの心臓が鼓動を始める。
「ま… 舞……」
「喋らないでっ、すぐに手当てするっ」
しかし、舞の放った一撃は、魔物を倒すのにも十分な物だった。まして、か弱い佐祐理なら、一刀で両断されていても不思議は無かった。
「いいの… 舞に怪我をさせなくて良かった」
「佐祐理さんっ!」
「お別れです、祐一さんと、お幸せに…… あなたと会えて、良かった……」
「佐祐理…」
そう言ったきり、佐祐理は動かなくなった。
「佐祐理ーーーーーーーーーーーー!!」
血まみれになった亡骸を抱き締める舞。その頃には、通報があった警察署から、何台ものパトカーが駅に到着していた。
「動くな! 刀を置いてゆっくりこっちに来い!!」
「…佐祐理、すぐに行くから」
今後、佐祐理のいない世界で生きていくことにも耐えられず、親友を切り倒してしまった罪の意識にも耐えられなくなった舞は、近くに捨てていた刀を掴むと、警官に向かって行こうとした。
「やめろっ!」
また同じ事の繰り返し、自己犠牲が過ぎる二人は、相手を守ろうとする余り、お互いを傷付け、一人が倒れ、もう一人も後を追おうとしていた。
「そんな事しても佐祐理さんは喜ばないっ!」
刀を構えて警官に向かい、撃たれようと思っていた所を祐一に捕まえられた。
そこで祐一だけをこの世に残し、他の女に引き渡すのを嫌った舞は、自分の道連れにしてから射殺される道を選んだ。
「…お願い祐一、一緒に死んでっ」
「動くなっ! 本当に撃つぞっ!」
剣を逆手に持ち替え、自分で抱いた祐一の背中から心臓に刃を突き立てる体制を取る舞。
だが祐一はこう言った。
「お前が治せっ! お前の母さんや、あゆを助けた時みたいに!」
「え…?」
現代医療技術では既に助からない佐祐理。しかし、人知を超えた妖狐の力、死者である舞の母を復活させた力ならまだ望みはあった。
『俺も手伝ってやるからっ、このまま佐祐理さんがいなくなってもいいのかっ?』
天使の人形の側でも離反者が出ていた。 佐祐理の祐一、舞の祐一、名雪の力。他にも栞や美汐の祐一達も、ここまでの悲劇は望んでいなかった。
(そうかい、そう思うならそうすればいい)
それらを否定せず、見守っている天使の人形。祐一の分身達も群集や警官が近寄って邪魔をしないよう、障壁を張って舞だけの空間を作り上げた。
「何だこれはっ?」
「近寄れないっ」
舞も昔のように、血にまみれた少女を抱き必
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