86佐祐理の悪夢
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な妄想に取り付かれて行った。
「お願い、舞っ! 一弥を返して欲しいんですっ! だからその間だけでも、祐一さんを貸してっ」
佐祐理の言いたい事は心の声で舞に伝わった「祐一と交尾して、一弥の霊を自分の子供として生き返らせたい」と。
「絶対に嫌っ!」
こちらも、香里から取り戻した怒りの感情を爆発させ、佐祐理達に対抗する。
親友である二人にも絶対に譲れない部分、それが次第に二人の間を引き裂いて行った。
別室
「お母様、お願いがあります」
舞と祐一が茶菓子でも出されてイチャイチャしている間に、真剣な表情で母に語りかける佐祐理。
「どうしたの急に?」
「舞を押さえていて欲しいんです。 お母様達ならできるでしょう?」
「それは? 出来ない事は無いけど、何をするつもり?」
「祐一さんに一弥を返してもらいます。 私の体を使って」
「エ?」
咄嗟には理解できなかったが、娘の目がすっかりおかしくなっているのには気付いた。 どこかの美汐ちゃんや、香里ちゃんぐらい、ヤバイ目付きになっているのを。
「まさか、佐祐理」
「以前、お母様も仰っていたでしょう? それに、夢の中で一弥と約束したんです「また会おうね」って。今日、一弥は約束を守って帰って来てくれました、祐一さんと一緒にいてくれたなんて知りませんでしたけど、もうこの家からは出しません。 今日にでも佐祐理のお腹の中に宿してもらって、産みなおしてあげます、それには舞が邪魔なんですっ、だからお母様、お願いっ!」
震えながら、恐ろしい力でしがみ付く娘。 母も一弥の魂を取り返したかったが、夫のある身として、自分の体を使ってまでは奪い取れなかった。 しかし、目も前の娘は、獣の目をして大切な弟を取り戻そうとしている。 こうしてまた、祐一に取り憑いた魔物が一人…
「佐祐理… 貴女が?」
「はいっ」
その決意は固く、頑固な娘はテコでも動きそうに無かった。 もう卒業前の騒動のように、手首の傷を増やす訳には行かない。 それに相手は「消えない妖狐」で、秋子と約束した許婚、母は観念して、娘の思う通りさせる事にした。
「分かりました…」
いつか、秋子とした約束、「祐一君に力が付けば、一弥君を返してあげられるでしょう」とうとうその約束の日が来た。
それは娘の親友を裏切り、弟と言うより、恋人を奪う事になるが、禁忌を破って生まれて来た川澄の娘から、倉田家の者として一弥と祐一を取り返すのに罪悪感は感じなかった。
食後に舞が入浴させられ、祐一と一緒にイチャイチャしている幻覚を見せられながらメイドと入浴。
その間に引き離された祐一は、佐祐理に引っ張られて別室に通された。
「祐一さん、こちらです」
佐祐理に案内された部屋は照明が消え、カーテンの向こうでは、大型プロジェクターによって、壁面
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