アインクラッド 後編
鼠の矜持、友の道
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毎度アリ。これでも第一層からの付き合いだからネ。知ってるヨ。マー坊がトー坊と出会って、それからトー坊が死ぬまでのことも、その後のことも、大体はネ」
「お願いします。教えてください」
「高いヨ? オレっちが言うのもなんだけど、値段とは釣り合わないナー」
「それでもいいです。お金なら……」
言いながら今持っているお金を全てオブジェクト化させようとして、口と手が止まる。わたしの資産のうち最低限残している分以外は、証拠映像を記録するための結晶を買い集めるのに使い果たしてしまった。それでも少し足りなくて、その分はエギルさんにツケている状態なのだ。これではそんな高い情報を買えるわけもない……でも、諦めきれず、わたしは深く頭を下げて頼んだ。
「お金なら、何とかします。今手持ちはないですけど、何とかして作ります! ……わたしは、マサキ君がいなかったら、今もずっと辛くて寂しいのを我慢して、無理な手助けで無理矢理その感情を紛らわせていたはずです。マサキ君は、そんなわたしを救ってくれました。だから、今度はわたしが助けたいんです。マサキ君が苦しんでいるなら、どうにかして力になりたい……!」
「……そう言えばこの前上モノのウィスキーを仕入れたって聞いたナ。オレっちにも飲ませてくれよ」
「アルゴさん!」
「あー、でもナー。オイラってばアルコールに弱いからなー。ウィスキーなんて飲んじゃったら酔っ払って色んなコト喋っちゃいそうだナー」
「…………!」
急に棒読みになったアルゴさんの言葉にハッとしてエギルさんに目をやると、同じことに気がついたのだろう、スキンヘッドを二、三度撫でた後、
「……分かったよ。ちょっと待ってろ」
と言い残してカウンターの裏へ消えた。しばらくしてから茶色のビンと氷の入ったグラスを手に戻ってきて、ビンからグラスに琥珀色の液体を注ぎアルゴさんの前に置いた。
「あーこれこれ。いっぺん飲んでみたかったんだヨ。催促しちゃったみたいで悪いナー」
「よく言うぜったく……おい!?」
いけしゃあしゃあと笑ったアルゴさんがグラスを持った、かと思ったら、エギルさんの静止も聞かずそれを一気に飲み干してしまった。慌てたエギルさんがグラスを取り上げたけれど、その中にもう液体は残っていなかった。
「おまっ、幾らしたと思ってんだ!? もっとよく味わって――」
「アーきたきた。やっぱ強いお酒は駄目だナ。昔のことを突然思い出しちまウ」
当然ながら、SAOで飲酒しても現実にアルコールを摂取したわけではないから、酔っ払うなど有り得ない。しかしアルゴさんは今にも掴みかからんばかりのエギルさんをひょいとかわし、あからさまな千鳥足でテーブルの周りを一周した後、元の椅子にふらふらと腰掛けた。そしてわたしの顔を見て、飄々としたいつもの顔
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