EX回:第6話(改2.1)<やはり会場へと>
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っててくれや」
ブルネイの提督は軽く手を上げるとイベント本部らしいテントへと向かった。
後に残された私たち。長い髪の毛をかき上げながら赤城さんも圧倒されているようだ。
「すごい盛り上がりですね」
確かに……美保のみならず日本でも滅多に見られない騒ぎっぷりだ。
淡々とした日向も腕を組んで言う。
「模擬戦とはいえ、お互い艦娘だ。このご時勢の、お祭りイベントしては最高だろう」
「そうねえ……」
龍田さんも、ちょっと姿勢を崩して周りを見る。
「内地では報道とか反対派とかイロイロ煩い面もあるけど……ここでは、そんな心配も不要なのね」
意外に客観的かつ冷静な分析をする彼女。まるで青葉さんみたいだな。
私も、さっきまでブルネイ提督に掴まれて痺れの残る腕を振って言う。
「世界中の海域は、ほとんど深海棲艦に牛耳られて彼らに対抗できるのは帝国海軍の艦娘だけと聞く」
秘書艦の祥高さんも頷いて補足する。
「ええ、だから今までは日本近海とそこに通ずる航路だけが維持されていますね」
「量産化……人類の夢」
いきなり寛代が鋭い台詞を言う。だが、それは紛れも無い事実だ。その夢が今、我々の目の前にあるのだろうか?
だが私は意気消沈していた。未だ、ここブルネイの様子が分からない。それに本調子でない艦娘たちを駆り出す良心の呵責。
それでいて相手の顔を潰してはならぬ、という板ばさみ。
「はぁ、胃が痛む」
すると寛代が私の背中に手を当て『大丈夫?』という目で私を見上げる。
「有り難う寛代。大丈夫だから」
この艦娘は意外なところで支えてくれるんだよな。ちょっと気が楽になった。
アナウンス席を見詰めていた日向が言う。
「この実況は戦艦『霧島』……それに解説は戦艦『武蔵』だ」
その言葉に美保の艦娘たちは改めて遠くのテントに陣取るブルネイの艦娘たちを見た。
「確かに……遠くからでも彼女たちの威圧感が凄いわ」
赤城さんが呟くように言う。
「あれが武蔵様か。正直、私も彼女を肉眼で見るのは初めてだ」
喘ぐように私は言った。
(いくら量産型とはいえ何て豪華なメンバーだ?)
「ここブルネイは艦娘の人材が豊富みたいですね」
祥高さんも感心して言う。
「これって、もしかしたら帝国海軍の未来像なのかしら?」
龍田さんも不意に予言めいた台詞を言う。
「確かに……そんな印象も受けます!」
これは比叡だが。率直だな。
「もしそうなら深海棲艦に対しても十分な戦力が各地に配置できるようになるわけだな」
これは日向。相変わらず腕を組んで冷静な意見を言う。
(そうか。もしこれが未来像なら、わが帝国海軍の行く末はバラ色なのだろう)
私は思わずホッとして苦笑いした。
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