第5章:幽世と魔導師
第129話「守護者討伐と……」
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一気に妖の数が減って残党狩りになったから帝に任せてきたわ。あいつが一番労力を使わずに仕留められるし。一応、すずかと奏が監視に残ってる」
「なるほど」
“狂気”の妖との戦闘中、裏門ではずっと妖との戦いが続いていた。
と言っても、数はだいぶ減っており、そこまで大変ではなかった。
ただ戦闘の激しさが伝わってきたため、不用意に助けに行っても邪魔になるだけだと奏やすずかが判断し、裏門の防衛に徹する事にしていたらしい。
「一応、奏がサーチャーを飛ばしていたから何があったかは一通り知っているけど……」
「……門の守護者を倒して、椿と葵に門の封印を任せた。妖の気配が明らかに減った事を見るに、封印は終わったみたいだ」
「……そういえば、空気もどことなくマシになったような……」
「門から瘴気が出ていたからな。封印でそれもなくなったからだろう」
辺りに漂っていた少し異様な雰囲気が薄れている事に司は気づく。
大気中に増えた霊力はそのままとはいえ、どことなく“危険”さはなくなっていた。
「詳しくは椿たちに聞かないと分からないが、少なくともさっきまでよりは格段に安全になったはずだ」
「……そのようね。……でも、それよりも気になるのが…」
アリサが校舎の方に目を向けると、そこには“優輝に対する”恐怖の視線がいくつもあった。……ほとんどの生徒、教師が優輝を恐れるように見ていたのだ。
「妖とはいえ、目の前で人型の存在を殺したんだ。それも、上下に分断して心臓を刺した上で首を刎ねるおまけつきだ。……“よくやった”と出迎える方がおかしい」
「……どうして!?優輝がいなければ……ううん、誰かが戦わなければ今頃…」
「人は得てしてそういう存在だ。脅威となり得る力で何かを殺せば……殺す相手が何であれ、その人物を恐れる」
「そんなの……!」
それはおかしいというアリサと司。
それに対し、優輝はどこか落ち着いて、それでいて諦観した面持ちだった。
……シュネーの時も、似たようなものだったからだ。
「今回の場合はそれだけじゃないな。……厳密には偽物とはいえ、目の前で家族を…妹を殺すような奴を、恐れない訳がないだろう?あの妖が言った事も拍車を掛けている」
「でも、それは……!」
「どんな訳があったにせよ、それを知らない人物にとって僕はただの人殺しにすぎない。ほら、事情を知っているはずの奴も、ああやって憤っているだろう?」
そういって優輝が示す先には、屋上に戻ったアリシアとなのはに引き留められている神夜の姿があった。
「っ………」
「まぁ、でも、二人が言い返したくなるのも分かる。……僕だって、何も知らない人たちに緋雪に関する事で勝手な事は言われたくない」
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