第5章:幽世と魔導師
第129話「守護者討伐と……」
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
優輝君は赦せないんだ」
……何よりも、優輝の怒りを見たからこそ、割り込むべきではないと判断した。
それは、緋雪に対する明らかな侮辱。妖として存在するのは、“人間”として在り続けたいと願った緋雪を貶めるようなものだったからだ。
「っ………」
「……簡単にだけど、説明するよ。今、日本全土に目撃情報が出ている謎の生物は、妖と言う…まぁ、妖怪みたいなものだと思って。……その妖が現れる原因が、“幽世の門”。幽世って言うのはあの世みたいなもので…私も詳しくは知らないけど、そこに繋がっている門から、妖は出てくるの」
「……じゃあ、あの緋雪ちゃんも…?」
「多分、ね。それも、他より格段に強い…」
会話している最中も、激しい戦いが繰り広げられる。
それを、司達は見ている事しかできなかった。
「な、なぁ!今、言っていた事って……!」
緋雪の姿をした妖…否、“狂気”が放った言葉について、聡は司に尋ねた。
いくつか気にするべき点はあったが、聡が最も気にしたのは…。
「……優輝君が、緋雪ちゃんを殺した事?」
「あ、ああ……」
ただその一点だった。
妹を…家族を殺す。それは明らかにおかしい事だった。
だからこそ聡は聞き流す事が出来ずに司に尋ねた。
「……私も、知らなかったよ。元より、緋雪ちゃんの死因は多分優輝君以外誰も知らない。交通事故扱いされているのも、誤魔化すためだったから」
「っ、じゃあ……!」
「……だけど、そうせざるを得なかったんだろうね」
シュラインを握る力が自然と強くなりながら、司は絞り出すように言う。
「何があったのかは、詳しくは知らない。でも、優輝君は緋雪ちゃんを殺さざるを得ない状況に陥った…ううん、もしくは、緋雪ちゃんがそれを望んだのか…」
「それは…」
「少なくとも、そうせざるを得ない理由があるはずだよ」
司の説明に、それを聞いていた者は納得できなくとも理解はした。
しかし、それが聞こえていない者は、やはり優輝への疑念が大きくなった。
妹を殺した人殺しなのかと、大半の生徒はそう思ってしまったのだ。
「……今は、黙って見ていて」
「黙っても何も……」
「こんなの見せられたら……」
絶句するしかない、と聡と玲菜は思う。あまりにも戦闘が激しいからだ。
“狂気”の分身魔法により、戦闘の苛烈さは増していた。
それは、まさしく逸話の再現。
ベルカ戦乱に君臨した恐怖の象徴“狂王”と、民を導いた王“導王”の戦い。
その戦闘はそれを表していると言っても過言ではなかった。
「(……凄い。四体を相手に、上手く立ち回っている)」
飛び交う魔力弾、炎や風の刃、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ