最終話 旅立ちと再起
[6/6]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
た。
付属高校の校舎は、あの戦いが嘘のように静かで――まるで、全てが夢であったかのようだった。
「……」
「……梨々子、やっぱ一度帰った方がいいんじゃないか? またあんたんとこのお父さん、心配で胃痛になっちゃうよ」
「ごめん、智花。……もう少しだけ、ここにいたいの」
「いやまぁ、あたしはいいんだけどさ……」
憂いを帯びた表情で、想い人を待つ梨々子。その切なげな貌を、智花はじっと見守っていた。
――宇宙人や怪獣が、この地球を再び攻め立てるようになったのは、ここ数年の話であり。彼女達が小学生の頃は、怪獣も侵略者も過去の物となっていた。
その当時、戦う相手がいなかったBURKは「税金泥棒」「暴力装置」などとメディアに叩かれ、今より遥かに肩身が狭い思いをしていた。その司令官の娘である梨々子も、そんな世情の誹りを受ける形で、苛められていたのである。
――そんな彼女をただ1人庇い、BURKが必要とされる今の時代になるまで、彼女の味方であり続けたのが……幼き日の風祭弓弦だったのだ。
彼は、どんな時も自分の側にいてくれた。だから、今度は自分が……。
「……!」
そう強く想う彼女が、ハッと顔を上げ――感涙を頬に伝せながら、教室を飛び出していく。智花の視界に、駒門琴乃に連れられた風祭弓弦の姿が映り込んだのは、その直後だった。
「風祭くぅうぅんッ!」
梨々子は涙を浮かべながら、満面の笑みを咲かせて――弓弦の胸に駆け込んでいく。そんな彼女を見つけ、普段どおりのぽけーっとした笑顔を浮かべながら。
(……父さん。オレ、もう一度だけ目指してみるよ。地球を守る、BURKの隊員をさ……)
――風祭弓弦は、心の奥底に新たな夢を刻むのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ