最終話 旅立ちと再起
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向ける。
『カイナ。私はかつて、君の入隊を拒んだことがある。その理由……今ならわかるな?』
(……若過ぎたから、ですよね。諦めない強さを持てないほどに、俺がガキだったから……)
『そうだ。大切なのは最後まであきらめず、立ち向かうことだ。例えわずかな希望でも、勝利を信じて戦うことだ。信じる心……その心の強さが、不可能を可能にする。それが――ウルトラマンだ』
(……)
『君は確かに、両親の死をバネにする強さを持っていた。だが、宇宙警備隊として何よりも必要な、諦めない強さが足りなかった。そして、それを持つには、君は余りにも若過ぎた』
ゾフィーはそこで一度、言葉を切り――「だが」、と付け加える。
『君は彼と共に再び立ち上がり、諦めない心を武器に恐竜戦車を破った。――君はようやく、ウルトラマンの門を叩いたのだ』
(ゾフィー隊長……)
『今なら、君を訓練学校に迎え入れられる。大切なものを守る強さ……君が追い求めたそれを、手に入れるチャンスだ』
(……)
待ち望んだ、宇宙警備隊への登竜門。それを目前にしたカイナは――迷うことなく、首を振る。
(……恐竜戦車を倒せたのは。地球の皆を守れたのは、親父の形見と……ユズルの力です。俺はただ、がむしゃらに戦っただけだった)
『――そうか』
(俺はこれから、武者修行の旅に出ます。隊長にも、ユズルにも、胸を張れる勇気を持てるまで)
『門はいつでも開けておく。……覚悟が決まった時、光の国を訪ねるがいい』
(はい。……その時こそ、一から鍛え直して頂きます)
カイナはやがて、ゾフィーに旅立ちを告げると――弓弦の体から分離し、彼の身を丘の上の公園に移動させる。
『ユズル……短い間だったけど、お前に会えて本当によかった。ありがとうな』
「……ううん。礼を言いたいのは、オレの方だ。君のおかげで……オレも、前に進めそうな気がするよ」
『そっか……よかった。じゃあ……いつか、またな』
そして、弓弦からカイナカプセルとカイナブラスターを返された彼は、ゾフィーと共に宇宙の彼方へ飛び去っていく。
その背中を見送った後――弓弦の背後から、彼を呼ぶ声が響き渡ってきた。
「風祭くーんッ! いたら返事してーッ!」
振り返ってみれば、先ほどのBURK隊員――駒門琴乃が、自分を探してあちこち駆け回っている。どうやら怪獣を倒した後も、休まず自分を探し続けていたようだ。
(ありがとう……ウルトラマンカイナ)
そんな彼女に、「おーい!」と手を振って駆け寄りながら。弓弦は、自分だけが知る新たなウルトラマンの名を、呟くのだった。
◇
夕陽が茜色の光を放つ、黄昏の空。生徒達が解散した後も、綾川梨々子は親友の尾瀬智花と2人で、その空を眺めながら待ち続けてい
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